聖書原型の死海文書、60年ぶり断片発見 ユダヤ砂漠で

エルサレム=高野遼
[PR]

 イスラエル考古学庁は16日、20世紀最大の発見とも言われた「死海文書」の新たな断片を発見したと発表した。死海文書は約2千年前に書かれた世界最古の聖書を含む古文書で、1947年に初めて発見された。文書の新たな断片が見つかったのは約60年ぶりだという。

 発表によると、数十個の死海文書の断片が、死海沿岸に広がるユダヤ砂漠にある洞窟内から発掘された。羊皮紙でできた断片には、ギリシャ語で旧約聖書の「ゼカリヤ書」の一節などが記されていた。ユダヤ人が約1900年前に洞穴内に隠したものとみられるという。

 読み取ることができた文書の一節は、これまで知られていた文書と異なる部分もあり、聖書が現在の形に至るまでの変遷をうかがわせるという。また、文書の大部分はギリシャ語で書かれているが、神の名前は古代ヘブライ語で書かれていた。

 死海文書は1947年以降、60年代までに11の洞窟で発掘、収集され、紀元前250年から紀元70年ごろの間に書写されたものとされてきた。その後、略奪者によって貴重な遺跡が荒らされることが問題となり、2017年から考古学庁などが砂漠一帯の大規模な発掘作業に乗り出していた。

 今回、死海文書の断片が発見されたのは死海沿岸にある「恐怖の洞窟」と呼ばれる場所。崖の頂上から80メートルほど降りたところに位置し、登山技術で懸垂下降をして到達できる洞窟だった。ユダヤ砂漠には多くの洞窟が存在し、発掘作業は、見つかっている洞窟の半分ほどまで進められているという。

 エルサレム遺産省のコーヘン長官は「我々の文化遺産としてだけではなく、世界的に重要な発見だ。考古学庁などによる大規模な発掘がなければ、略奪者の手に渡っていた。今後も発掘プロジェクトを続けていく」としている。

 今回の発掘では死海文書の断片以外にも、複数の発見があった。6千年前の女の子とみられる一部がミイラ化した骸骨や、約1万500年前に植物を編んで作られたとみられるバスケットも見つかった。バスケットは90~100リットルほどの容量があり、完全な形で見つかったものとしては世界最古とみられるという。(エルサレム=高野遼)