親代わりの師匠、不祥事で2度交代 17歳は稽古に励む

松本龍三郎
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 所属部屋で相次いだ不祥事のせいで、師匠がこの1年で2度代わった力士がいる。吉井=東幕下21枚目、本名・吉井虹=だ。十両昇進をめざす、元中学横綱の17歳。親代わりでもある師匠に翻弄(ほんろう)され、絶望していないのだろうか。胸の内を聞いてみた。

 昨年7月、当時所属していた中川部屋の師匠が、弟子へ暴行・暴言をはたらいたとして降格処分を受けた。中川部屋は閉鎖され、吉井は時津風部屋へ移ることになった。

 吉井はこの時、序ノ口デビューから6場所連続で勝ち越し、平成以降では貴花田(のちの横綱貴乃花)に次ぐ早さの幕下昇進を決めていた。不幸中の幸いというべきか、移籍によって幕下以下だけだった稽古相手に、幕内力士が加わった。

 「正代関、豊山関と相撲を取ると圧力が全然違う。良い経験ができている」。本人の口ぶりからも充実感が伝わってきた。

 その効果もあってか、初場所では連続勝ち越しを10にまで伸ばし、萩原(のちの横綱稀勢の里)以来となる、17歳での十両昇進が視野に入ってきた。

 そこにきて、またもや師匠の不祥事が発覚した。

 日本相撲協会が一丸となって新型コロナウイルス対策に取り組むなか、1月の初場所中に、当時の時津風親方(元幕内時津海)が風俗店やマージャン店に出入りするなど、協会の感染症対応ガイドライン(指針)に違反。今場所前、「退職勧告」処分を受けて退職した。

 今場所の1番相撲を終えた後、吉井は一連の師匠交代について、初めて口を開いた。

 「お世話になっていた方たちだったので、寂しい部分もあります」

 吉井は中学卒業後、高校に進学せずに角界入りした。特に未成年の力士にとって、師匠は指導者であると同時に、親代わりでもあり、「師匠の言うことは絶対」とされる。

 そんな師匠に相次ぐトラブルを目の当たりにしても、「結局頑張るのは自分なので。これも良い経験だと思って自分の稽古に励んでいます」と語った。

 師匠たちをせめて反面教師にして、真っすぐに成長していってもらいたい。真っすぐなコメントを聞き、35歳の記者はそう願った。(松本龍三郎)