春闘、ベアゼロ妥結が相次ぐ 賃上げ率2%割り込む見方

佐藤英彬、榊原謙
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 春の労使交渉(春闘)は17日、大手企業の集中回答日を迎えた。今年は新型コロナウイルス禍による企業経営への打撃を踏まえ、労働組合の要求も抑えめだったことから、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)はゼロでの妥結が相次いだ。賃上げ率は昨年まで7年連続で2%台だったが、今年は8年ぶりに割り込むとの見方が強い。

 「経営側は『先行き不透明』を強調し、交渉は難航した」。電機や自動車など製造業大手の労組でつくる金属労協の高倉明議長は、17日の記者会見で語った。傘下の大手54組合のうち、ベアを獲得したのは29組合(17日夕時点)にとどまる。

 今春闘では、要求段階からベアを見送る組合も相次いだ。旅行減などで飛行機の部品生産が打撃をうけた三菱重工業など重工大手3社は、10年ぶりにベアなしで妥結。三菱自動車ホンダもベアなしで妥結した。コロナ禍の打撃の大きい観光業界などは、会社の経営立て直しを優先。近畿日本ツーリストの労組などは、春闘要求そのものを見送った。

 一方、テレワーク需要などが堅調だった電機業界は、日立製作所など大手6社すべてが、昨年とほぼ同水準の月1千~1200円のベアを獲得した。

 厚生労働省の集計では、昨年の春闘での大企業の平均賃上げ率(定期昇給を含む)は2・0%だった。日本総合研究所の山田久・主席研究員は、「これから結果が分かる百貨店や航空などは、より厳しい回答が多い可能性が高く、最終的な賃上げ率も昨年を下回るだろう」と話す。(佐藤英彬、榊原謙)