魚食性の巨大外来魚、和賀川に 生態系への影響懸念

溝口太郎
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 岩手県西和賀町の和賀川上流部で、魚食性の巨大外来魚ブラウントラウトが確認され、生態系への影響が懸念されている。秋田県では在来の渓流魚が捕食される被害が出ており、岩手の漁業関係者も危機感を募らせている。

 和賀川水系を管轄する西和賀淡水漁業協同組合によると、2016年6月に秋田自動車道湯田インター近くの和賀川水系支流で体長40センチのブラウンが釣れたのを皮切りに、昨年3月には体長60センチが釣れるなど、周辺水域で計5回、捕獲された。昨年9月には在来のイワナと交雑したと見られる魚も見つかった。

 ブラウンはヨーロッパや西アジアに生息するマスの仲間で、100年近く前に日本に入ったとされる。体長は70センチ以上に成長。魚類を捕食するほか、産卵期が長くイワナなどの産卵床を掘り返すため、渓流魚が再生産できず駆逐されるケースが出ている。北海道では希少種のニホンザリガニへの被害も報告されている。このため、漁業調整規則で移植が禁止されており、国も「産業管理外来種」に指定し、「入れない、捨てない、拡(ひろ)げない」よう呼びかけている。

 秋田県横手市の横手川ではブラウンが異常繁殖している。昨年10月に横手川漁協などが実施した調査では、流域でとれたのはブラウン120匹に対しイワナは1匹、ヤマメは15匹。重量比ではブラウンが全魚種の95%を占めた。

 同漁協の柴田耕副組合長は「アユ釣りのおとりアユにまで巨大なブラウンが食いつく有り様で、もう手に負えない」と困惑する。ただ、ブラウン目当ての釣り人によって入漁料も増えているため「漁協としては痛しかゆしだ」と話す。

 和賀川と横手川は水系が別で、和賀川には湯田ダムがあるためブラウンがそこから上流に遡上(そじょう)するのは難しい。このため、西和賀淡水漁業協同組合の佐井守組合長は「愛好家が移植放流している可能性もある。このまま放置すれば、岩手県内の河川も生態系が壊れかねない」と警戒する。

 県と同漁協が昨年9月から11月にかけて行った調査ではブラウンは確認できなかった。県水産振興課は「県内ではまだ公式には確認できていないが、漁協などの調査を技術面で支援していきたい」と指摘。生息が確認された場合は、駆除や放流防止などの対策も検討していく。(溝口太郎)