普通との「ズレ」いとおしく 「こちらあみ子」映画化

比嘉展玖
[PR]

 広島市出身の芥川賞作家、今村夏子さんの小説「こちらあみ子」が、広島県内を中心としたロケとキャスティングで映画化される。森井勇佑監督(35)は、主人公・あみ子を演じる子役を募集しており、「演技経験がなくても、広島弁を話す素直な子が演じてほしい」と期待する。

 あみ子は、純粋だが少し風変わりな女の子。ある日、流産した母を元気づけようと、赤ちゃんの墓を作ることを思いつくが――。あみ子の無垢(むく)で時に残酷な行動が、周囲の人々をいや応なしに変えていく過程をあみ子の視線で描いた、今村さんのデビュー作だ。

 森井監督は、今村さんの同名小説を映画化した「星の子」(2020年、大森立嗣監督)で助監督を務めた。今作が初監督の作品という。森井監督は「普通」であることやコミュニケーション能力が高いことが「良いこと」とされる社会に生きづらさを感じているといい、「友達や家族と、行動や会話で『ズレ』のあるあみ子の感覚を最後には親密でいとおしく感じられる作品にしたい」と話す。

 せりふには、原作通り広島弁が織り交ざる。森井監督は「(広島弁は)『ぽんっ』と放り投げても、周りがやわらかく受け入れてくれる印象。作品のイメージにつながる言葉」と話す。

 近藤貴彦プロデューサー(52)は「あみ子はうまく社会とつながれない。それでも周りの人々は、自身と異なるあみ子の感覚を次第に受け入れていく。彼らの姿は常識に縛られ生きづらさを感じる私たちに、勇気を与えてくれるはず」と話した。

 撮影は7月から県内で始め、公開は来年の予定。あみ子や同級生らを広島弁で演じられる子役を26日まで募集している。詳しくはハーベストフィルムのウェブサイト(https://harvest-film.tokyo/別ウインドウで開きます)へ。(比嘉展玖)