新米パパは諦めずひらり 高安、まだ見ぬ娘のために奮起

波戸健一
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(17日、大相撲春場所4日目)

 この場所後を最も楽しみにしている力士高安だろう。妻で演歌歌手の杜このみさんが2月、第1子の長女を里帰り出産した。妻子とまだ対面できておらず、「場所が終われば会える。それを励みに頑張りたい」と奮起して3連勝だ。

 先場所優勝の大栄翔の馬力は頭に入っていた。「攻め負けないように取った」。強烈なのどわを受けて両足が俵にかかったが、新米パパは諦めなかった。相手の押しに耐えながら右足一本でひらりとかわし、勢い余った大栄翔を土俵外に追いやった。

 左ひじ靱帯(じんたい)断裂や腰痛が重なり、昨年初場所に大関から転落した。さらにけがの連鎖が続き、一時は番付を前頭13枚目まで落とした。この日の土俵際の機敏な動きは、体が復調してきた証しだ。

 「大関時代は力任せの相撲でけがが重なった。反省した」。四股や鉄砲の地道な基礎運動で丈夫な体作りに取り組んだ。がむしゃらに当たるだけではなく、理詰めの相撲を心がけるようになった。脂質を控えた妻の手料理も支えになった。

 今場所前の合同稽古では、大関の「後輩」の朝乃山に三番稽古を志願した。結果は13勝1敗。着実に力は戻っている。「子どもが物心ついた時に、いい姿を見せられるようにまだまだ頑張らないといけない」。娘の存在と大関返り咲きの大目標。大きな発奮材料が高安にはある。(波戸健一)