「日本一のおいしい水」守りたい「 管理センターが完成

武沢昌英
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 青森市の水道水の水質検査を行う新たな「水質管理センター」が完成し、2月から稼働している。「日本一おいしい水」と評価されたこともある青森市の水。検査だけに特化した施設としてできあがった新センターで、職員たちは市民の暮らしに欠かせない「水」の安全を守っている。

 青森市企業局水道部によると、市には横内浄水場、堤川浄水場の二つの浄水場がある。このうち横内浄水場は明治時代、市の水道事業が始まった時に作られた歴史ある浄水場だ。八甲田連峰から流れる横内川を水源とし、主に市内中心部に配水している。

 この横内浄水場の水が日本一おいしい水と評価を受けたのは1984年。当時の厚生省が、全国12地区の水道水を飲み比べる「利き水会」を開き、青森市が最高評価を受けた。

 ブナやミズナラなどの豊かな森に恵まれた八甲田連峰の地下に雪解け水や雨水が浸透し、長い年月をかけてわき水となって横内川に注ぐ。淡泊であっさり、くせのない味が日本一おいしいと評価された水の特徴だ。

 市水道部では市内全域と蓬田村の水道水を検査している。新たな水質管理センターは横内浄水場の敷地内に建設された。これまでは同じ敷地内の管理棟2階の水質試験室で検査をしてきたが、新センターは水質検査だけを行う独立した建物。延べ面積約1千平方メートル、総事業費は約7億1200万円。

 新センターは分析過程に応じて検査室を従来の6室から20室に細分化した。最新鋭の排気装置5台も新規導入された。ドラフト装置とも呼ばれる大型の箱状の排気装置は検査の過程で発生する有害な気体を人が浴びることがないよう、職員は上下に動かすことのできるガラス窓の下から両手を入れて操作し、有害な気体は外に漏れない。

 市水道部横内浄水課の我満智課長は新たな施設について「検査室を細かく分け、様々な気体のコンタミネーション(混入)を防ぐことで検査の精度がより高まる」と話す。

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 施設が新設されても、すべてが自動化されるわけではなく、あくまで検査にあたるのは人だ。真新しい水質管理センターはセキュリティー面も強化され、検査室へは横内浄水課の水質管理チームなど限られた職員のみ顔認証システムで入室できる。

 青森市内の水質検査は一般家庭の水道水や水源上流の沢水など市内12地域の約110地点から採水している。

 味や臭気、濁度などはもちろん、検査対象の物質の水1リットル中の含有量を千分の一ミリグラム単位まで調べる。水質検査基準の51項目は1カ月に1回、水質管理上注意すべき25項目は3カ月に1回検査する。同部横内浄水課水質管理チームの油川一紀チームリーダーは「検査方法に誤りはないか。結果は正確な数値か、数値の変動幅に異常がないか。いつも自問自答している」と話す。

 各地点での採水は職員7人が週2回、各地点を回って採水し、約2週間かけて検査をする。冬場の降雪期の採水には体力も必要だという。一部の簡易水道の水質検査の地点などは道路から100メートル以上離れたところにあり、冬の採水はまず除雪作業から。冷え込んだ日は水道管が凍結している採水地点もあり、管に少しずつお湯をかけて溶かすため、冬は熱湯入りポットが必需品だという。

 おいしい水と評価される横内浄水場で作られる水の硬度は15ミリグラム前後で、もう一つの堤川浄水場の硬度は50~60ミリグラム。一般の人が飲み比べても違いはほとんど分からないという。硬度は水1リットルあたりのカルシウムマグネシウムの量で、国内ではおおむね100ミリグラム以下が軟水とされ、横内浄水場の水は「超」軟水の部類だ。

 「おいしい水に異変はないか」。新しい水質管理センターで、職員たちの精密な検査が続く。(武沢昌英)