カンボジア、強まる個人独裁 「支持あれば永久に首相」
内戦の終結から今年で30年となるカンボジアで、強権化・個人独裁化が進みつつある。36年にわたって首相の座にあるフン・セン氏(69)のもと、野党弾圧や国民の監視が進み、権力の長男への世襲さえ取りざたされるようになった。日本も支援してきた民主化は遠のきつつある。(ハノイ=宋光祐)
専門家インタビューあり
記事の後半では、カンボジアの現状について、新潟国際情報大国際学部の山田裕史准教にインタビューしています。
「支持が得られる限り、永久に、首相を続ける」
フン・セン首相は3月4日、プノンペンで英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを接種後、記者会見でこう話した。
1月に就任から36年となり、地元紙が「世界最長の在職期間」と報じたフン・セン氏。今後について、ここ数年は「あと10年」と言うことが多かったが、さらに続ける意欲を見せた。
フン・セン氏が首相に就いた36年前、カンボジアは内戦のさなかにあった。1975年に親米政権を倒して権力を掌握したポル・ポト派が極端な共産主義思想のもとで約170万人を虐殺したあと、ベトナム軍に79年に政権を追われ、内戦状態に。日本を含む19カ国が参加してパリ和平協定が91年に調印されるまで和平は実現しなかった。
フン・セン氏はポル・ポト派の軍人だったが、国民の虐殺に反対してベトナムに亡命。ベトナム軍のプノンペン攻略後に樹立されたヘン・サムリン政権で外相に就き、内戦下の85年に首相に昇格した。今年1月14日には自身のフェイスブックにこう投稿している。
「就任時、私は世界最年少の首相だった。カンボジアは数え切れないほど課題を抱えてきたが、国家をあらゆる分野で発展と進歩に導いた」
停滞する民主化と進む個人独裁
人口約1600万人のカンボ…