船は木の葉のように回った 津波で「沖出し」漁師の決断

有料会員記事

西川祥一
[PR]

 「沖出し」とは、津波が発生した時に、船を沖合に避難させる漁師特有の言葉だ。転覆の可能性もある危険と背中合わせの行為だが、漁師は船を失えば明日からの生活もままならない。

 東日本大震災の時に沖出しをした一人が、北海道豊頃町にある大津漁港の漁師、中村吉一(よしかず)さん(70)だ。

写真・図版
海辺の作業小屋で「沖出し」の経験を話す中村吉一さん=北海道豊頃町

 2011年3月11日午後2時46分。地震発生時に、中村さんは帯広市内にいた。長く続く大きい揺れ。真っ先に頭をよぎったのは所有する末広丸のことだった。7・2トンの漁船を大津漁港に係留していたからだ。

 急いで車で港に向かった。1時間半ほどで岸壁に着くと、船の前で当時24歳だった長男の真明さんが待っていた。

 すでに30分ほど前に、津波…

この記事は有料会員記事です。残り1742文字有料会員になると続きをお読みいただけます。