東芝、「もの言う株主」の提案を可決 圧力の有無調査へ

小出大貴
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 東芝が18日に開いた臨時株主総会で、昨夏の定時株主総会が公正に運営されていたかを調べるよう求めた「もの言う株主」の提案が賛成多数で可決された。株主側は、議決権行使書の集計に不正があり、東芝側から他の株主への圧力もあったと疑っている。議決権という株主の権利が問われたことで賛同を集めたとみられる。日本の大企業の株主総会で、株主提案が可決されるのは異例だ。

 「過半数のご賛成を得て、原案通り承認、可決されました」。午前11時過ぎ。議長役の車谷暢昭社長が株主提案の可決を伝えると、会場となった東京都内の催事ホールではまばらな拍手が起きた。

 議案を提出したのは東芝株の1割弱を握る筆頭株主の投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」。経営に積極的に関わる「もの言う株主」とされ、東芝が米原発事業の失敗によって経営危機に陥った2017年に資金を出し株主となった。

 発端は昨年7月の定時総会にさかのぼる。議決権行使書の集計業務を委託した三井住友信託銀行で不適切な処理があり、議決権の一部が反映されなかったことが総会後に発覚した。

 同行の調査結果を独自に検証したとする東芝に対し、エフィッシモは「(まだ)説明のつかない不自然な点が存在している」と反発した。一部の株主が東芝から不当な圧力をうけ、議決権行使を断念したとも主張。調査を求めて臨時総会の招集要請に踏み切った。エフィッシモの代理人は18日の臨時総会で、「経営陣と株主の信頼関係を再構築するためにも独立した調査者による調査が必要不可欠だ」と訴えた。

 一方、東芝は昨夏の定時総会の運営については「これ以上の調査は困難」との立場をとった。株主への圧力についても、社外の弁護士が「不当な干渉に関与したことは認められない」と認定したことから「更なる調査は不要」とする。

 しかし、臨時総会では株主の質問に対し、「(調査の過程で)大株主1名から、定時株主総会前にある人物から接触を受けた結果、議決権を行使しなかったとの連絡を受けた」と明らかにした。人物の所属といった詳細については相手先から返答が得られないなどの理由から「不明」のまま調査を終えることになったとも報告した。

 株主の間には、東芝の調査内容が非公表であることへの不信感やエフィッシモ側と大きく主張が食い違っていることで、再度徹底した調査をすべきだとの考えが広がったとみられる。

 株主提案の可決を受けて、今後、エフィッシモが推す3人の弁護士が調査し、6月の定時株主総会で結果が報告される。東芝は「株主様の総体的意思を真摯(しんし)に受け止め、調査に誠実に協力し、経営の透明性の一層の確保を図る」とのコメントを出した。

 臨時総会では、別の大株主の米投資ファンド「ファラロン・キャピタル・マネジメント」が東芝の新経営方針をめぐり、定款の変更などを求めていたが、賛成少数で否決された。(小出大貴)

●臨時株主総会でのそれぞれの主張

○エフィッシモが提案

 昨夏の定時株主総会の運営に不自然な点が存在する。集計作業で不正や、一部の株主が東芝側からの圧力を受け議決権行使を断念したことが疑われ、選任した独立した弁護士による調査をすべきだ。

×東芝は反対

 集計作業は他社で調査後、当社監査委で検証済みで更なる調査は必要ない。圧力については社外弁護士らで調べたが株主への不当な干渉は認められなかった。

○ファラロンが提案

 昨秋公表した新経営方針で資本政策を突然変更したのは問題。変更する際は取締役会ではなく株主総会で決め、否決された際は、本業で稼いだ将来5年分の現金全てを株主還元にあてるように定款を変更すべきだ。

×東芝は反対

 昨秋の方針に変更はなく誤解だ。資本政策は定期的に報告し説明責任を果たしており、定款変更の必要はない。将来の稼ぎの使い道を拘束するのは過度な介入にあたる。