バブルが生んだ「カジノ市場」、素人投資家が負った傷

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聞き手・ニューヨーク=江渕崇 聞き手・岸善樹 聞き手・高久潤
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 米国の株式市場で年初に起きた「個人投資家の乱」。若者がウォール街のプロに一泡吹かせた騒動は、コロナ下の金融緩和で市場がゆがんだ表れにも見える。あの炎上は何だったのか。

金融アドバイザー ダグラス・ボナパースさん

 私は、ネットが当たり前の時代に育った「ミレニアル世代」です。金融アドバイザーとして同世代が抱えるお金の悩みの相談に乗っています。

 2008年のリーマン危機が、最大の転機でした。金融のプロとして一旗揚げようとニューヨークの空港に降り立ったまさにその日、大手証券会社のリーマン・ブラザーズが破綻(はたん)したのです。

 ゲームストップ株を巡る個人投資家の乱を知ったとき、リーマン危機を受けて起きた金融界の象徴、ウォール街の占拠運動を思い起こしました。11年、多くの若者がニューヨークの公園で座り込みやデモに繰り出し、「大銀行が税金で救われるのはおかしい」と抗議を重ねました。

 あの時は何も改善されませんでしたが、今回は違います。「ロビンフッド」などの投資アプリやSNSといった新たな武器を手にした若者は、空売りを仕掛けたヘッジファンドに痛手を負わせた。ある種の「リベンジ」だったといえるでしょう。

 今回の騒動のお膳立ては、昨春、米連邦準備制度理事会(FRB)が、いくらでもお金を刷り続けると決めた段階でできていたといえます。コロナ禍でスポーツも娯楽も自粛となるなか、市場は開き続けました。若者たちの手元には政府から送られてきた経済対策の小切手があった。取引高を膨らませるオプション取引も簡単に利用できる。市場がエンターテインメントの場と化したのです。

 乱の後、損失を被った個人投資家もいます。ゲーム販売店に映画館、航空会社……。彼らが買った銘柄は最低限の知識があれば、投資しにくいものばかり。まったくの素人でも簡単に投資できるようになったことが、傷を大きくしたのです。

テスラ株やビットコインが大ブームの市場で、「個人投資家の乱」からみえるものとは。識者3人の論説から読み解きます。

 昨年、ロビンフッドで株を始…

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