「極右を育てる学校」が幻に トランプ氏元側近が構想?

ローマ=河原田慎一
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 トランプ米前大統領の首席戦略官だった、スティーブ・バノン氏が構想したとされる「国家主義者の養成アカデミー」計画が、頓挫することになった。イタリア中部の山中にある元修道院に昨年、開校予定だったが、施設を管理していた団体と国が裁判で争っていた。

 行政訴訟控訴審を担当する国務院は15日、アカデミーの運営を予定していた宗教系団体の訴えを退け、管理者としての認定を無効とした国の判断を認める判決を出した。上告はできず、判決は確定する。

 イタリアメディアによると、原告は「人間の尊厳研究所」と称する団体。イタリア政府が2017年、13世紀に建てられた元修道院の保護や管理を委託した。だが、この団体には聖職者がいるものの、実際には世界中から若者を集め、元修道院を「極右の政治指導者を育てる学校」とする計画を進めたという。この計画には、バノン氏が深く関わっていたとされる。

 政府は施設の目的外使用だとして提訴。一審の行政裁判所は、国の手続きに不備があったとし、訴えを退けた。一方、二審の国務院は、団体に文化財保護の経験がなく、活動内容も不明だったなどと指摘。国が示した管理者としての要件を満たしておらず、許可は無効だとする国の主張を認めた。(ローマ=河原田慎一)

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