「偏見を見直し、生まれ変わりたい」佐々木氏の謝罪全文

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 今夏に延期となった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)が18日、辞意を表明した。開会式に出演予定だったタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなメッセージをチーム内のLINEに送っていたと文春オンラインが17日に報じ、佐々木氏は18日未明に謝罪文を公表し、事実関係を認めた。

 謝罪文(抜粋)は次の通り。原文にはメッセージの詳細が書かれていたが、差別を助長するおそれがあるため、一部を省略した。

    ◇

 昨年3月の私のLINEのグループラインの中において、オリンピック開会式のアイデアフラッシュを仲間うちでやり取りする中で、私のアイデア及び、発言内容に、非常に不適切な表現がありました。出演者の候補として名前が上がっていた渡辺直美さんに対する演出アイデアの中で、宇宙人と地球人の接点的な役柄で、オリンピックの使者的キャラということで、駄洒落(だじゃれ)にして、発案をしました。アイデアをLINE上で書き、みんなの意見を聞きましたが、すぐに、(メンバーの一人の)MIKIKOさんから「ピンとこない」、他のメンバーからは手厳しく「面白くない」「ありえない」「一時的なアイデアだとしても、言うべきじゃない」などと、LINE上で、スタッフから非常に怒られ、私も、その場で、大変恥ずかしながら、スタッフからの率直な直言で目が覚めました。メンバー全員にLINE上で謝り、撤回しました。気づかせてくれたことに礼も言ったつもりです。

 MIKIKOさんから、オリンピック開会式のストーリー強化を手伝って欲しいというご依頼受けて、パラリンピック担当だった私はパラリンピックの企画チームを呼んで、MIKIKOさんを入れた10名以上のグループで、ざっくばらんにやりとりした中で、私が調子に乗って出したアイデアです。

 渡辺直美さんに対しては、大変な侮辱となる私の発案、発言となること。これは取り返しのつかないことです。心から反省して、ご本人、そして、このような内容でご不快になられた方々に、心からおわび申し上げます。

 文春さんから電話取材を受けた段階で、この私のLINE上での、大失言が表に出て、渡辺直美さんにも伝わるときが来たら、責任をとって辞表を出すべきと考えて来ました。

 あと数カ月に近づいたオリンピック・パラリンピック開閉会式を日々死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない気持ちです。

 先程、橋本会長には、夜分ではありますが、お電話で、私の辞意をお伝えしました。

 あらためて、辞表を書かせて頂き、お届けするつもりです。

 LINEが好きで、内輪でのやり取りのつもりでしたが、今回多くの方に伝わることになり、渡辺さんにはどのようにおわびをしてもしきれないと思っています。世界的な活躍をされ、個人的にも大変ファンでした渡辺直美さんに、この度のことで、ご不快な思いをさせてしまったことが、本当に悔やまれてなりません。

 心からおわび申し上げます。

 ふだんは、自分では、多様性、ジェンダー問題、そして、容姿などを揶揄(やゆ)して人を傷つけてはいけないと言うことには、気をつけているつもりでしたが、このようなことで、それがとんでもない勘違いで、自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた次第です。今後は、自分の生活全般、仕事に対する姿勢、日常の言動などについて、猛反省し、意識改革をし、自らの思い込み、偏見、鈍感さ、などを見直し、あらためて、生まれ変わりたいと思います。

 この度は、大変申し訳ありませんでした。

 佐々木宏

東京五輪パラリンピックをめぐる主な動き

2012年

11月15日 新たな国立競技場のデザイン案にザハ・ハディド氏の案が採用

2013年

9月7日 国際オリンピック委員会(IOC)総会で20年大会の開催都市が東京に決定。安倍晋三首相原発事故の影響を「アンダーコントロール(管理下にある)」と説明

2014年

1月24日 大会組織委員会発足。森喜朗元首相が会長に

2015年

7月17日 総工費の高騰を理由に、安倍首相国立競技場の計画を白紙に

  24日 佐野研二郎氏デザインのエンブレム発表。のち、ベルギーの劇場エンブレムと酷似していたことがわかり、使用中止に

2016年

4月25日 野老朝雄氏デザインのエンブレム発表

7月31日 小池百合子氏が都知事選で初当選

8月6日 リオ大会開幕。22日の閉会式で安倍首相がマリオ姿で登場

2018年

12月10日 招致買収疑惑で日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長がフランスで聴取

2019年

3月19日 JOCの竹田会長が退任

2020年

3月24日 1年程度の五輪・パラ延期が決定

12月23日 狂言師の野村萬斎さんを統括とする五輪・パラ開閉会式の演出チームが解散

2021年

2月3日 森前会長がJOCの会合で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言。12日、辞意を表明