人間国宝桂米朝、文筆家時代の二つの新作落語とは 

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落語研究家・小澤紘司
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戦後、滅びかけていた上方落語を「救世主」としてよみがえらせたのは、人間国宝の故・桂米朝さんでした。命日の3月19日、50年来の親交があった落語研究家・小澤紘司さんが、その道のりを貴重な資料でひもとくコラム「米朝物がたり」を公開します。

 正岡容(いるる)という方はどんな人でしたか?」と、桂米朝さんに尋ねたことがあります。

 「学生らが古本屋で目についた本のことを正岡さんに言うと『おおっ、あったかい。それはこんな本だから、すぐに買っておきなさい』と教えてくれ、何でもよく知っていた人やった。まあ、最後の文士と言えるやろな」とのことでした。

 兵庫県尼崎市の米朝さん宅の本棚には、師であった正岡の著した本が、ずらっと並んでいます。その一冊で1944(昭和19)年に非売品で出された随筆『寄席囃子(ばやし)』の中に、「寄席文化研究家の學徒(がくと)中川清君」と書かれているのを見つけました。当時、18歳だった米朝さんのことです。

 戦時下に置かれていた日本…

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