被災地に輝く南三陸の中橋 「町きれいになるほど……」

福留庸友
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10年がたった復興への歩み。東日本大震災の被災地を写真で伝えます。

拡大する写真・図版周辺に住宅はほとんどなく、明かりも少ないため、中橋が闇に浮かび上がる。地元の写真家佐藤信一さん(55)は「星は前以上にきれいに見える」と話す=2021年1月21日、宮城県南三陸町、501枚を比較明合成、福留庸友撮影

 宮城県南三陸町の中橋は建築家の隈研吾さんがデザインし、昨秋完成した。建設費は約10億円。地元の杉を使った二層構造で、長さは約80メートルある。大きさは津波で流失した以前の橋の2倍以上になった。

 町は10年前、津波で壊滅的な被害を受けた。橋がつなぐのは、震災復興祈念公園と、震災後につくられた商業施設。公園にはむき出しの鉄筋が津波の脅威を伝える防災対策庁舎が残る。周辺に住宅はほとんどない。日が落ちると、照明がついた橋が暗闇に浮かび上がる。

拡大する写真・図版周辺に住宅はほとんどなく、明かりも少ないため、中橋が闇に浮かび上がる。地元の写真家佐藤信一さん(55)は「星は前以上にきれいに見える」と話す=2021年2月3日、宮城県南三陸町、1181枚を比較明合成、福留庸友撮影

 橋の近くで理髪店を営む宮川賢司さん(46)は「町がきれいになればなるほど、さみしさを感じる。立派になって防災の面では安心感あっけど。昔を知ってると複雑だね」と話す。

 一方、写真館を営み、地元の姿を撮影してきた佐藤信一さん(55)は「10年でよくここまで来た。やむを得ず外に出て行った人がいる中で、育った町で生活できることはうれしい」。(福留庸友)