団地リノベの原点知った 苦情引き取った自治会長の言葉

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田中美保
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凄腕しごとにん

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自身が「再生」を手がける洋光台団地前のベンチに座る中川匠さん=横浜市磯子区、倉田貴志撮影

都市再生機構 東日本賃貸事業部 神奈川エリア経営部 主幹 中川匠さん(45)

 戦後の住宅不足に対応するため、国は高度経済成長期、都市部に団地を整備した。今は独立行政法人都市再生機構(UR)が管理する約72万戸の団地には、老朽化や住民の高齢化などで、再整備を迫られているものも多い。建て替えや改修、バリアフリー化や住戸のリノベーションなどの「再生」に、計50の団地で関わってきた。

 「再生」は、全ての住民に喜ばれるとは限らない。建て替えで喜ぶ人もいれば、引っ越しが負担になる高齢住民もいる。広場を改修しようとしても、住民は何げない樹木に愛着があることも。団地の価値向上に、決まった答えはない。

 だからこそ、それぞれの団地の実際の住民の声を広く聞いた上で、実際に暮らす立場になって判断していく必要がある――。そのことを学んだのが、8年目に向き合った大阪府内の団地だった。

「住民の声」に、どう向き合うか

 大きく育った木がジャマだ、遊具がある広場の騒音がけしからんといった様々な団地住民の苦情に、当時はそのつど急いで対応しようと努めていた。だが、子や孫の世代も住みやすい環境を残そうと心を砕いて地域をまとめていた、その団地の自治会長は違った。

 「URは、すぐに対応しすぎ…

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