アイヌ差別「昔のことではない」 北海道の有識者会議

斎藤徹
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 北海道のアイヌ施策の新たな基本方針「北海道アイヌ政策推進方策」の修正案が19日、道庁の有識者会議で了承された。新方針は2021年度から5年間のアイヌ施策の柱となり、アイヌの生活支援に加え、アイヌ文化や地域産業振興などを盛り込んだ総合的な施策に初めて見直される。今後道議会に報告され、月内に正式決定される。

 基本方針は5~7年ごとに見直され、従来の方針が20年度末で期限を迎えるため改訂作業が行われてきた。

 道は2月初め、「理解促進」「生活向上」「文化振興」「地域・産業・観光振興」「多様な文化との交流促進」を施策の柱とした素案を公表。その後1カ月間のパブリックコメントを経て修正案をまとめた。

 修正案では、明治政府による北海道開拓の際、アイヌの人たちが土地所有の概念がなかったためほとんど土地を取得できなかった歴史的経緯などを新たに追加した。

 19日の会議では、日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で12日、アイヌ民族を傷つける不適切な表現があった問題も言及された。道アイヌ協会の小川哲也理事は、30代のアイヌの女性が小さい頃に「あ、犬」と言われた事例を紹介し、「差別は決して昔のことでない」と訴えた。

 長橋聡・道アイヌ政策監は「アイヌへの関心は全国的にも高まりつつある一方、今もアイヌの尊厳をおとしめるような心ない発言がある。新しい政策方針では、アイヌの理解促進を施策の基本に据え取り組んでいきたい」と述べた。(斎藤徹)

「侮蔑的な表現」日テレ情報番組を批判

 日本テレビ系の情報番組「スッキリ」でアイヌ民族に対する不適切な表現が放送された問題を受け、北海道の鈴木直道知事と道アイヌ協会の大川勝理事長が19日、共同メッセージを出した。

 メッセージは問題の表現について「アイヌの人たちの尊厳を著しく傷つける侮蔑的な表現」と批判。現在でもアイヌの人々が差別や偏見、誹謗(ひぼう)中傷で傷ついているとし、「アイヌの人たちが苦難を乗り越え歩んできた歴史や心血を注ぎ受け継いできた独自の文化に思いを寄せて、正しい理解を深めてほしい」と全国民に訴えている。(斎藤徹)