「まさか…」緊張感詰まった九回 センバツが帰ってきた

大坂尚子
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(19日、選抜高校野球 神戸国際大付3―2北海)

 流れは、いつ、どう変わるか、分からない。勝利への執念に、緊張感。そんな高校野球の醍醐(だいご)味が詰まった九回だった。

 八回までは大会屈指の左腕、北海の木村大成のペースだった。鋭いスライダーに、神戸国際大付の選手たちのバットは空を切り続けた。ただ「(チーム全体で)どんどん球にあってきている」と西川侑志の話すとおり、反撃をうかがっていた。

 迎えた九回、神戸国際大付も最初からうまくいったわけではない。先頭打者が出塁した直後、代打で送り込まれた坂本陽飛は犠打を失敗した。

 だが、しぼみかけたと思われた勢いは、捕逸、安打で吹き返す。1死一、三塁。神戸国際大付はここで仕掛けた。スクイズだ。

 北海のバッテリーに読まれて低めの変化球で外されたものの、ボールがワンバウンドして捕手のミットに収まらない。三塁走者の坂本は犠打失敗の名誉挽回(ばんかい)とばかりに、勢いよく右手で本塁に滑り込む。土壇場で同点に持ち込んだ。

 この得点を機に、試合の流れは一転。神戸国際大付は十回、途中出場の関悠人のサヨナラ打で決着をつけた。

 「まさかこういう展開になるとは……」。神戸国際大付の青木尚龍監督も驚く試合の動き。九回のサヨナラの好機は相手の好返球に阻まれた。開幕試合から延長戦にもつれ込む好試合で、選抜大会が帰ってきたと感じさせた。コロナ下で大きな声援はおくれなくても、球場を包んだ大きな拍手がそれを物語っていた。(大坂尚子)