「普通なら流れが来るのに…」明徳義塾・馬淵監督の誤算

坂名信行
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 第93回選抜高校野球大会1回戦の好カードの一つだった仙台育英と明徳義塾(高知)の一戦。好左腕の代木大和(3年)を中心に粘り強く守って勝機を探った明徳義塾だったが0―1と本塁が遠かった。

 甲子園経験が豊富な明徳義塾馬淵史郎監督(65)は「普通なら試合の流れがこっちに来るんですけどねえ」。淡々とした口調のなかにも、勝てなかった悔しさをにじませた。

 流れが来ると感じたのは六回の守備だ。1死から安打と長打で二、三塁のピンチ。しかし、監督だけでなくバッテリーも慌てていなかった。ストライクを無理に取りにいかず、外角の球を続けて四球で歩かせる。予定通り満塁策をとった。

 そして、次打者は選手宣誓をした仙台育英の島貫丞主将(3年)。打たれれば一気に試合が決まり、抑えればぐっと流れが来そうな場面。結果は一―捕―二とボールが送られる最高の併殺に仕留めた。

 ただ、誤算は仙台育英のエース伊藤樹(3年)だった。「精神力が強い」と馬淵監督。高知高の右本格派・森木大智(3年)を打つ練習をしてきた明徳義塾は速球に強いはずだったが、「球質が違う。スピン量は伊藤君の方があるんじゃないかな」と攻略できなかった理由を挙げた。

 馬淵監督は、仙台育英のチーム全体の強さも語った。「脚力が違う。足が速い選手をようそろえましたね。本当に速い」。左打者に三遊間にゴロを打たれて一塁がギリギリのタイミングになる嫌らしい打線だったことを強調。守備面も「打てなかったが、印象としていいところに守られた。データがあったのか、2、3球(野手の間を)抜けてもいい打球があった」という。

 若い須江航監督(37)については「ヒットエンドランとか積極的で。これからの東北でリーダーシップが取れる監督だと思います」とたたえた。

 1回戦敗退。だがすぐに夏はやってくる。二回の失点は内野安打になるタイミングなのに、遊撃手が一塁に悪送球して二塁まで進ませてしまったミス。「明徳の守備とは言えない」。1点を追う九回の先頭打者は2ボールから強振して三飛に。「明徳の野球をやって負けたら仕方ないが、1ストライク2ボールになっていいのに。力んだんでしょうね」

 繰り返し口にした「明徳の野球」。65歳にして勝利への執念は衰えない。さらに粘り強いチームに仕立てるつもりだ。(坂名信行)