卒業生でないのに無名校を応援 そして野球部は甲子園へ

小川直樹
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 阪神甲子園球場で開幕した選抜高校野球大会で21日に初戦を迎える初出場の大崎(長崎県西海市)。野球部が無名の頃から甲子園出場を信じて応援してきた人がいる。野球部後援会理事の宮本雄介さん(33)だ。「大崎グッズ」を量産し、地域を盛り上げてきた。初戦も観客席に駆けつける。

 大崎のイメージカラーの青に、ユニホームの胸にある「Ohsaki」のロゴをあしらったタオル。宮本さんが甲子園出場を記念してデザインした。

 「初出場なので、アルプス席で広げてインパクトを与えたいなと思って」

 パーカや帽子、マスクも作った。タオルは8500枚の在庫が無くなった。

 熱心な応援の原動力は、清水央彦監督(50)への強い思い入れからだ。

 高校時代、五島で軟式野球をしていた宮本さんは2006年、清水監督がコーチだった清峰の選抜準優勝に衝撃を受けた。「公立でなぜこんなに強いのか」。甲子園常連校と互角に渡り合う姿にわくわくした。

 その手腕に注目するようになり、大島造船に就職して西海市に来てからは、清峰や、清水監督がその後率いた佐世保実の試合を見に行くようになった。

 清水監督が大崎野球部に来ると分かったころから、職場の上司らに「3年以内に甲子園に行きます」と言って回った。「そんなはずはない」と笑う人がほとんどだった。大崎の部員は当時わずか5人。清水監督の就任時に有力選手も集まったが、実績はなかった。

 しかし、卒業生でもない宮本さんは後援会役員に就き、19年春からは島を盛り上げようとグッズ作りに力を入れた。家に何十箱も届くグッズの配送作業で休日が終わってしまうことも。勤め先のブラスバンドに試合の応援も頼んだ。

 チームの躍進につれて後援会の会員数は増えた。選抜出場が有力になった昨秋以降、一気に増えて約800人に。グッズのパーカを着た人をコンビニで見かけるまでになった。

 そんな宮本さんに、清水監督も「勝ち出す前から応援してくれるなんてすごい。大事にしたいです」。

 大崎は21日の第2試合で福岡大大濠(福岡県)と対戦する。宮本さんの自宅には甲子園出場を祝う横断幕とのぼりを掲げる。

 宮本さんは「ファウルボールを何十分も探すような練習環境だったときに、大崎に来てくれた選手たちの覚悟を見て、自分も負けられないと思った。甲子園でも応援するので、勝ち続けてほしい」。(小川直樹)