二転三転の末…アストラゼネカ製ワクチン、仏で接種再開

新型コロナウイルス

パリ=疋田多揚
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 フランスのカステックス首相(55)が19日、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを初めて接種した。同社製ワクチンをめぐっては、仏政府の評価が二転三転したために国民の不信が増大。国民が接種に尻込みしないよう、首相自ら一肌脱いだ格好だ。

 カステックス氏は18日の記者会見で、同社製ワクチンの接種を19日から再開すると発表した。血栓などの副作用の有無を調べていた欧州医薬品庁(EMA)が18日、「ワクチンは安全で効果が見込める」と結論づけたためだ。

 変異株が猛威を振るうフランスは、1日の感染者数が3万8千人を超え、病床が逼迫(ひっぱく)。政府はパリ首都圏など2100万人を対象に、20日から4週間の外出禁止令を課すと決めた。頼みの綱のワクチンは「1回分たりとも無駄にできない」(カステックス氏)状況だ。

 課題の一つが世論だ。今週の世論調査で同社製ワクチンを「信頼できる」と答えた仏国民は20%にとどまったためだ。

 マクロン大統領は1月末、同社製ワクチンは十分な情報がないとして「65歳以上にはほとんど効かないと考えられる」などと疑問視した。

 ところがその後、EMAが18歳以上のすべての世代の接種を認めると、フランスもならって、18歳以上の医療従事者糖尿病患者らへの接種を認めることにした。ワクチン供給不足の解消を担うと期待され、3月半ばまでにフランスで接種した約530万人のうち、4分の1が同社製の接種だった。

 一方で、同社製ワクチンを優先的に接種できる医療スタッフや介護施設の職員では、3人に1人しか接種していないことが判明。カステックス氏は3月上旬、「普通ではない」などといらだちを示し、接種を強く促した。

 その後、北欧の一部の国が副作用の懸念から同社製ワクチンの接種を見送り始めても強気を貫いた。14日夜のテレビ番組で、カステックス氏は「アストラゼネカのワクチンを信頼しないといけない」と力を込めた。だが、マクロン大統領が翌日に態度を翻した。「用心のため」として突如中断を表明し、混乱に拍車がかかった。

 接種再開の旗振り役を担ったカステックス氏は19日にワクチンを受けると、報道陣に「私はちょっと痛がりなんだけど、何にも感じなかった」と緊張した面持ちで語った。(パリ=疋田多揚)

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