コロナ対策にサーキットブレーカー検討へ 国に慎重論も

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中田絢子、シンガポール=西村宏治
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 新型コロナウイルス対応で、一定の条件を満たせば自動的に対策を強める「サーキットブレーカー」の導入を専門家が訴えている。感染再拡大に備えるもので、政府の分科会で近く検討を本格化させる。ただ、導入は政治判断の余地を狭めることにつながり、政府内に慎重意見も多い。

 「2回目の緊急事態宣言を発出せざるをえなかった理由は、いわゆる『サーキットブレーカー』が効かなかったということだ」。宣言解除が決まった直後の18日の菅義偉首相の記者会見。同席した分科会の尾身茂会長は指摘した。

 サーキットブレーカーは元々、株式市場などで価格が一定以上、大きく変動した場合に混乱を避けるため、自動的に取引を一時停止させる仕組みのことだ。尾身氏ら専門家は最近、これを転用し、コロナ対応で実効性を高める新たな手法の意味で用いている。

 具体的な検討はこれからだが、感染状況が一定の水準まで悪化した場合に、営業時間の短縮要請やイベント開催の制限、移動の制限などの対策を自動的に強化するものとみられる。新型コロナ対応の改正特別措置法で新設されたものの、発動要件があいまいな「まん延防止等重点措置」(まん防)などを出す条件とつなげるべきだとの意見も上がる。

 背景にあるのは、感染再拡大(リバウンド)への危機感だ。2回目の宣言は21日までで全面解除となる。3度目の宣言に至るような急激なリバウンドをいかに防ぐか。厚生労働省に助言する専門家組織(アドバイザリーボード)のメンバーは「ある指標を満たしたら、自動的に感染防止対策を強化する。それくらいの対応をしないと医療の逼迫(ひっぱく)は回避できない」と話す。

 専門家らには、感染状況を4段階で示す「ステージ」が十分に機能しなかったとの反省がある。

 昨年8月につくられたステージは、次の秋冬以降に感染が広がった時に備え、地域ごとに必要な対策を取りやすくするのが狙いだった。ステージ3(感染急増)となった場合の対策も示したが、政府や都道府県知事がステージを「総合的に判断する」との立て付けで、実際には「様々な理由でなかなか迅速な対応ができなかった」(尾身氏)。首相肝いりの観光支援策「Go To トラベル」などの運用の見直しも、分科会が何度も求めなければ実現できなかったとの苦い経験もある。

 また、1年を超える新型コロナ対応でさまざま経験も得ており、病床使用率や新規感染者数、PCR検査の陽性率など六つの指標でみるステージにも「実態に合わないところも少しある」(脇田隆字・国立感染症研究所長)という。

 ただ、官邸幹部ら政府内では、尾身氏らが想定するサーキットブレーカーに慎重な声が多い。対策を強化する基準が分かりやすくなるなどの利点がある一方で、政治判断の余地が狭まるからだ。国民の私権制限につながる措置が、自動発動されることへの疑問もある。

 数値基準を設ける考えは、1…

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