森田健作氏、劇場型はぼたん雪…「粉雪にならなければ」

古賀大己、今泉奏 上田雅文
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 第56代知事を決める知事選の投開票日が21日に迫った。新たな時代を見据え、千葉県はどう変わるべきなのか。歴代知事に聞いた。

 第53~55代 森田健作氏(71)

 10年後、20年後を見据え、これだけは千葉県のためにやるんだと、自分の思いを打ち上げてほしい。人がどうこうじゃない。今回の知事選の候補者は見えていることしか言わない印象。大体一緒だね。

 12年前、アクアライン通行料金を800円にする、と訴えて当選した。当時は誰もできないと思っただろう。でも命をかけてやる。できなければ1期で辞める。そう覚悟した。

 当時の麻生(太郎)首相は「今は3千円。できるわけない」と取り合ってくれない。「だったら千葉にいらない。壊してくれ」と突っ張った。最後は菅(義偉首相)さんの口添えで、なんとか実現した。

 うれしかった以上に、次の政策実現への原動力になった。あの苦しさを思えば、できないわけがない、と。その後、外環道ができ、何年かすると圏央道がつながる。企業誘致も好調だ。第二湾岸も検討が始まり、道路ネットワークは完成が見えてきている。

 あとは外房だ。起爆剤を探して、東京五輪サーフィン会場を一宮町に持ってきた。湘南ではなくて。これも森(喜朗・前東京五輪パラリンピック組織委員会長)さんが協力してくれた。光が当たれば人は来る。地価も上がった。外房に必ず波及しますよ。

 知事の仕事は、まずは経済だ。腹が減ってちゃ仕方ない。道路基盤を生かして、観光、農業、福祉を育ててほしい。農林水産物のトップセールスや介護人材確保のためのベトナムとの協定。今は小さいが、コツコツと進めていけば、必ず大きな柱になる。

 ほとんどの政策を実現できたのは、中央政界とのパイプがあったからだ。麻生さん、菅さんたちの協力あってこそ。参院、衆院議員の経験がなかったら1割も達成できなかったと思う。1人では何もできない。友情を大切にしてよかった。

 批判し、敵を作り、大きな声で目立とうとする劇場型の人は、ぼたん雪のようだ。積もるのも早いが、溶けるのも早い。何も残らない。何事かを残したいなら、しんしんと降る粉雪にならなければ。(古賀大己、今泉奏)

第51、52代 堂本暁子氏(88)

 たった一人の千葉県知事に、県の予算と許認可を執行する大きな権限がある。知事は県の状況をしっかり把握し、住民たちがどう幸せになれるかを常に考え、すべての判断に責任を負う覚悟が必要だ。

 知事選の各候補には、県の将来がどうあるべきかのビジョン、どんな政策を展開、実行するかを公約に示してほしい。その上で、どんな短い時間でも責任を持って、有権者が納得いくこれからを語ってほしい。

 徹底した情報公開も大切。プライバシーを守った上で、できるだけの資料、情報を開示してほしい。

 2001年から知事を2期務めた際、記者会見では基本的に原稿を持たずに応じた。知事なのに、質問に対して原稿以外のことを答えないのはおかしいし、県民に県行政を知ってもらうため、メディアには誠実な回答を示さないといけない。

 8年間で最も大切にしたビジョンは、情報公開に加えて参加型の県政だった。

 県政運営では住民目線を心がけた。千葉なの花県民会議と名付けて当時約80あった市町村を回って話を聞いた。千葉都民と外房、県南の人で抱える問題はそれぞれ違う。できないことはできないけど言えばやってくれるんだと感じてもらえるよう、声に耳を傾けた。

 日本では戦後、中央集権が続き、民主主義が成熟してこなかった。民主主義を確立するため、地域住民の声を行政がすくい、政策に生かすことが大事だ。県は国と市町村に挟まれた中間行政だから、住民と直接つながる市町村長とも連絡を密にした。

 知事時代に南房総沖で漁船と自衛艦がぶつかる事故があった。治療を受けていた病院を飛び出して現場に直行し、防衛省には抗議するため怒鳴り込んだ。職員に的確な指示を出し、職員の士気を上げるためにも、トップとして現場を見て、地元と意見交換をしないといけない。

 県内文化はおもしろい。関西から海に乗ってきたものと千葉独自のものが入り交じる。新知事にはこれらを活性化させ、文化立県のような動きもやってほしい。(上田雅文)