主役がいない「14歳の栞」 監督が見つけた青春リアル

有料会員記事

岩沢志気
[PR]

 中学2年生の3学期をテーマにしたドキュメンタリー映画「14歳の栞(しおり)」が、5日から公開されている。大人なのか子どもなのか、あいまいな瞬間を生きる14歳に焦点をあて、日常に「密着」した。この作品には、ほとんどの映画に必須の「主役」が存在していない。制作陣に、そのねらいを聞いた。

 映画を制作したのは、東京・渋谷に拠点を置くコンテンツ・スタジオ「チョコレイト」。映像を軸としたエンターテインメントを手がける会社で、初めて長編ドキュメンタリーに挑戦した。

 舞台は、ある公立中学校の2年6組。撮影スタッフが2月以降の50日ほど、張り付いた。どこにでもいそうなクラスメート35人の14歳のリアルを、ただひたすら映し出す。

 映画は、35人それぞれに順番にスポットライトを当てていく。多くの映画では、「主役」の視点を通じてストーリーの理解や感情移入がしやすくなるが、この映画には特定の「主役」はいない。

 ちょうど、35人の14歳の私小説が連なるように展開していく。冒頭を除いて、ストーリーを誘導するナレーションもない。

 なぜ、こんな描き方にしたのか。

 企画を担当した栗林和明さん(33)は「これまでにない作品にしたかったんです。1人の主役を中心に描くと、よくある学校が舞台になったドキュメンタリーやフィクション作品と大きな差が出ないと考えました」と語る。

 ただ、当初、監督の竹林亮さん(36)は、このアイデアに不安もあった。

 このクラスには、長髪をかき乱す担任の先生や、オリンピックの候補になるようなスーパースターはいない。何か特定の生徒をめぐる事件が起きそうもない。

 ドキュメンタリーといえども、ストーリーやメッセージが必要だ。竹林さんには「ちゃんと120分の作品に落とし込めるのかな」という心配があった。「ドキュメンタリーが好きな人には、(『主役不在』という手法が)受け入れられるのかという怖さは常にありましたよね」とも打ち明ける。

記事後半では、監督が35人を平等に描く手法でもいけると考えたきっかけや、生徒たちはどうして自分の秘めた思いを素直に語ったのかについても触れていきます。

 だが、撮影開始から1週間を…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【本日23:59まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら