半世紀前のエースの教えは今も 選抜52年ぶりの宮崎商

菊地洋行
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(20日、選抜高校野球 天理7―1宮崎商)

 第1試合に登場した宮崎商は、選抜大会出場が52年ぶりだ。半世紀前のエース西井哲夫さん(69)は、宮崎県国富町の自宅で野球教室を開いており、その教え子たちがこの日の天理(奈良)戦に出場した。孫世代の5人が、西井さんの思い出深い甲子園を駆けた。

 西井さんの野球教室は、軟式野球部を引退した中学3年生が主な対象で、小学生らも来る。ビニールハウスをつないだ設備の中に畳を敷き、ティーバッティングや体作りを指導する。

 西井さんが選抜に出たのは1969年。大観衆が見守る大舞台に、「思うところに投げられなかった」。初戦で敗れた。卒業後にヤクルトに入ってプロで18年過ごしたが、「めった打ちにされた選抜の初戦が一番思い出深かった」と話す。

 野球教室の傍ら、今も母校グラウンドのネット裏を訪れる。橋口光朗監督(32)の隣から、「おう太一、調子はどうだ」となじみの選手に声を掛ける。

 この日、その西原太一選手(3年)は先発出場した。宮崎を出発する前、西井さんに「自分のスイングができていないぞ」と声をかけられた建山翔選手(3年)は、チーム初安打を放った。

 水谷圭佑選手(3年)も先発出場し、安打を打った。西村太陽選手(3年)は代打で登場。長友稜太投手(2年)も八回から登板した。

 チームは6安打に抑えられ、1―7で敗れた。自宅のテレビで観戦した西井さんは、「生きているうちに再び夢の舞台で戦う母校の選手を見られるなんて。何よりの恩返しでありがとうと言いたい」と話した。

 建山選手は西井さんのアドバイスを受け、関西入り後のここ1週間、打席でリラックスするように修正した。「西井さんに春1勝の報告をしたかった」と残念がり、「強い打球を打ち返せる練習を重ねて夏にまた戻ってきたい」と話した。(菊地洋行)