子どもの命、3割は「救えた」 事故検証続けるCDR

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小池寛木
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 全国で年間4千人近くにのぼる子どもの死には、どれだけの「防げたはずの命」があったのか――。

 18歳未満で亡くなった全ての子どもの死因を多角的に検証し、予防策を考える取り組みが各地で始まっている。滋賀県の検証では「県内の死亡事例の3割は防げた可能性がある」と分析された。どのような取り組みなのか。何が再発を許していたのか。

 昨年7月。大津市内にある県の合同庁舎で開かれた会議に、約20人が集まった。

 県内の主要病院の小児科医師、医師会の理事、県警の検視官室長、地検検事、子ども家庭相談センターの所長、県の健康医療福祉部の幹部……。会議の冒頭で、とりまとめ役の医師の一杉正仁(ひとすぎまさひと)・滋賀医科大教授(社会医学)は「医療機関だけでさまざまな死因調査をするのは困難です。関係機関の垣根を越えて臨みたい」と連携を呼びかけた。

 事故や病気、虐待、自殺などで亡くなった全ての子どもについて、死亡の経緯や治療状況、家庭環境などの情報を集約して関係者や専門家が多方面から検証、予防策を導き出す取り組みは、「チャイルド・デス・レビュー」(CDR、予防のための子どもの死亡検証)と呼ばれる。米国や英国では定着している制度で、死亡例を減らす効果が報告されている。

 だが国内では、子どもの死亡事故が学校で起きれば文部科学省、保育施設で起きれば厚生労働省、製品が原因なら経済産業省消費者庁……と縦割りで情報を管理。検証作業が分断され、有効な再発防止策が共有されにくかったり、はざまで抜け落ちたりするケースがあると専門家らは指摘する。

 そこで厚労省は昨年4月から、滋賀県を含む7府県に予算を補助し、CDRの取り組みを試験的に開始。各府県は検証の結果を3月末までに報告書にまとめ、知事と厚労省に提出する予定だ。

 「究極の目標は子どもの死亡事故をゼロにすること。再発防止策を講じれば、今すぐにでも救える命がある」。一杉教授はそう訴える。

 滋賀県では、関係機関の調整や情報収集にあたる「連絡調整会議」と、会議のメンバーに有識者を加えた「検証委員会」を設置。2018年1月~20年12月に亡くなった18歳未満の子ども、計131人のケースを一つ一つ分析した。

 検証のための基礎資料は、死亡診断書に基づいて作成され、保健所で管理される「死亡小票」。本来は厚労省の人口動態調査のための資料だが、県はCDRに使うための目的外使用を同省に申請。同省によると、死亡小票を用いた死因検証は全国的にも珍しいという。

 滋賀医科大に設置された事務…

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