「米国は上から目線」外交トップ会談、荒ぶる中国代表

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ワシントン=大島隆、北京=冨名腰隆
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 バイデン政権下で初めて開かれた米中外交トップ同士の会談は、同盟国と圧力を強める米国と、対等な関係に持ち込もうとする中国の思惑が衝突する展開となった。根本的な課題では双方の溝は深く、国際社会を巻き込む長期的な対立が避けられない情勢だ。(ワシントン=大島隆、北京=冨名腰隆

 「厳しく、直接的な対話になると予期していたし、実際にそうなった」

 サリバン米大統領補佐官は会談後に記者団にこう語った。また、ブリンケン米国務長官は、米国が問題提起をした際の中国の反応を「防御的」とした上で「何の驚きもない」と強調した。政権高官の一人は「中国政府は時に、米国の公式見解と水面下でのメッセージは異なると考えがちだ。我々はこれを早めに打ち消し、公での言葉と同じメッセージを直接伝える必要があると考えた」と説明する。

 政権の立ち位置を明確にする意味で、米側は会談で目的を達した形だ。会談に向けたバイデン政権の準備も、そのまま政権の対中戦略を映し出している。米中会談に先立ち、初の日米豪印首脳協議を開いたほか、ブリンケン氏を日韓に、オースティン国防長官を日韓印にそれぞれ派遣。特に日本とは、中国を名指しで批判する共同声明を発表し、対中での連携をアピールした。これらはすべて、アジアでの同盟関係を再構築し「強い立場」で米中会談に臨むためだった。

 一方で、一連の会談からは米国のこれからの課題も浮かび上がった。

 日本とは対照的に、中国との関係にも配慮する韓国との共同声明には、中国に関する言及が一切なかった。インドも国境問題などを抱えつつも、対中包囲網づくりとは一定の距離を置く。中国側の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員も米中会談の冒頭で「日韓は中国の第2、第3の貿易相手国で、ASEANは今や最大の貿易相手国だ」と経済的な結びつきを誇示して牽制(けんせい)した。

 もう一つの課題は、中国に対する強い立場を確保するためにも不可欠と位置づけている、国内経済や民主主義社会の立て直しだ。

 バイデン政権は対中関係を優位な立場から進めるためにも、まずは国内の再建を急ぐ。サリバン氏は会談前、政権の経済対策や新型コロナワクチン接種の進展などを挙げ「政権のこれまでの取り組みを踏まえ、強い立場で中国との会談にのぞむ」と話していた。

 しかし楊氏は会談で、中国の貧困層の減少や新型コロナ対策での成果を強調したうえで、米大統領選挙をめぐる混乱や黒人暴行死事件を念頭に「多くの米国人が自国の民主主義を信頼していない」「米国は自国の人権問題にもっと取り組むべきだ」などと挑発的な発言を繰り返した。米側はブリンケン氏が「我々も完璧ではないが、問題を隠しはしない」と反論する場面もあった。

 「民主主義が攻撃にさらされている」と危機を訴えるバイデン大統領は、世界全体だけでなく自国の民主主義の再生にも取り組むとしている。ただ、安定した民主主義社会の基盤となる中間層の再構築や、社会の分断の解消は、一朝一夕には解決できない長期課題だ。バイデン政権は国内政策と外交政策を一体で進める方針を示しており、今後の対中国での通商や先端技術に関する政策でも、国内の立て直しに直結する政策を推進する構えだ。

会談冒頭の場面 SNSで拡散

 「米国は上から目線で中国に…

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