「前途多難」「改善は悲観的」米中会談、専門家の見方は

聞き手・園田耕司 聞き手・高田正幸
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 バイデン米政権の発足後に初めて開かれた米中外交トップ会談が19日、2日間の日程を終えた。冒頭から互いを非難する異例の展開となった今回の会談を、両国の事情に詳しい専門家はどう見たのか。

デビッド・ダラー米ブルッキングス研究所上級研究員

 米中外交トップの初会談は前途多難なスタートとなった。米中間には南シナ海新疆ウイグル自治区、香港、台湾と多岐にわたる問題がある。だが、米中両国は本当の外交交渉をするよりも、それぞれの国内政治での得点を稼ぐことに関心を持っているという印象を受けた。

 1月に発足したバイデン政権が特に重視している分野が安全保障と人権問題だ。トランプ政権と比べると、対中政策そのものに大きな変化はない。ただ、大きく異なるのは、友好国や同盟国と協調して中国に対応する点にある。トランプ政権は欧州やアジアの同盟国とは協力せず、米国単独で中国と取引を続けた。しかし、この試みは失敗に終わり、中国の振る舞いを変えることはできなかった。これに対し、バイデン政権は今回の会談前、日米豪印(クアッド)首脳協議、日韓両国との2+2を開催するという段取りを組んだ。これはバイデン政権が、アジア太平洋地域で何を重視して対中政策を進めるかを示す明確な意思表明だ。

 バイデン政権は、国交正常化以来40年以上にわたる米中関係の中でも極めて悪い状況を引き継ぐ形で発足した。バイデン政権の間、気候変動や世界金融の安定、核不拡散など米中間で共通利益をもつ分野においては両国が協力する機会もあり、いくばくかの控えめながらの関係改善はあるかもしれない。しかし、米国内では米中経済のデカップリング(切り離し)を支持する意見もあり、経済関係での大きな改善は期待できないだろう。安全保障や人権問題をめぐっても米中間で今後も緊張が続いていくことになるだろう。(聞き手・園田耕司

韋宗友・復旦大学米国研究センター教授

 ブリンケン国務長官は会談の冒頭から、いきなり新疆や香港、台湾の問題を持ち出し、中国が(米国の)同盟国に経済的な圧迫を加えていると批判した。バイデン政権の対中姿勢は、予測していた以上に厳しいと受け止めさせる内容だ。

 今回の会談の目的は互いの関心や立場を伝えることにあった。中国側が伝えようとしたのは、主権や発展の利益に関わる問題は譲歩できないということだ。

 ブリンケン氏が発したシグナルは三つあると考える。米国にとっての中国の戦略的位置づけは、トランプ政権と変わらず競争相手であること。トランプ政権とは異なり、貿易よりも人権や民主主義を重んじること。トランプ政権よりも同盟国との団結を重視するということだ。米国は同盟国や友好国と統一戦線を組み、人権や民主主義の問題で中国に対応を迫ってくるだろう。

 バイデン政権は中国への高関税は維持する方針だし、科学技術で中国が米国を超えることへの警戒も解かないだろう。気候変動対策など協力可能な分野は存在するが、より原則的な問題で根本的な対立を抱えている。関係改善には悲観的にならざるをえない。(聞き手・高田正幸)