「石田対策の相手を驚かそう」 急遽メンバー入りで好投

黒田陸離
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(20日、選抜高校野球 東海大相模3-1東海大甲府)

 一回裏、東海大相模の先発マウンドに上がったのは背番号18の石川永稀投手(3年=新学年)だった。「真っすぐが走っていた」と、140キロを超える速球を連発。二つの空振り三振を奪って初回を0点に抑えると、ホッとしたようにベンチへ戻った。

 回を重ねるごとに、表情に自信がみなぎっていった。三回、2死満塁のピンチでは初球、速球でマウンド付近の遊飛に仕留め、捕球した大塚瑠晏(るあん)主将(同)とポンと手を合わせた。五回は1番から始まる相手打線を三者凡退に。低めに落ちる球で空振り三振を奪うと、マウンド上でこの日初めて、小さくガッツポーズをつくった。

 昨秋は県大会出場を決める地区予選で、1イニングに登板したのみ。関東大会ではメンバーから外れた。昨秋サヨナラ負けした東海大甲府戦では、完投した石田隼都投手(同)がぼうぜんとするのをスタンドで見つめた。

 「自分はチームに何もできなかった」。人一倍の悔しさを持って練習を重ねた。今大会の最初のメンバー登録でも選ばれなかったが諦めず、関西へ入ってから直前の変更で背番号をもらった。

 「表情も交わす言葉もよくなっていた。僕の中では当たり前に起用した」と門馬敬治監督は言う。先発を伝えられたのは試合当日の朝。「やっときたか。石田対策をしているところを驚かせてやろう」と、緊張なくマウンドに上がった。

 八回、1死二、三塁から適時打を浴びて同点を許したが、逆転の走者は味方がアウトに。マウンドに戻りながらボールをグラブに何度もポンポンと入れ、気合を込めた。最後の打者を高めの速球で右飛に打ち取ると、「後ろには石田がいてくれる」という頼れるエースにマウンドを託した。

 試合後、門馬監督は「石川はできすぎだった。予定より引っ張った」と好投をたたえた。石川投手は「これまで何も残していなかったので、一つ自信になった」。投手陣の二つ目の柱に名乗りを上げた右腕は、充実した表情を見せた。(黒田陸離)