コロナに翻弄された大阪桐蔭 「顔合わせない人もいた」

浅沼愛、板倉吉延
[PR]

 開催中の選抜高校野球大会では、新型コロナウイルスの感染者が校内で発生したことを乗り越え、甲子園にたどり着いたチームがある。強豪校は強みだった寮生活で苦境に立たされ、昨夏の独自大会を辞退した古豪は、その経験をいかして緊急事態宣言をしのいだ。

 甲子園出場22回、優勝8回を誇る大阪桐蔭。部員40人全員が寮生活を送り、一体感を育ててきた。

 だが学校が1月下旬、校内での感染者を公表。2月中旬にかけ、ミーティングや守備の連係など全体練習ができなくなった。西谷浩一監督は毎朝、誰か熱を出していないかと不安で、「寮から着信があるとドキッとした」と振り返る。「寮でみんなで生活することで強みが出る。それが覆される状況で厳しかった」

 部員は相部屋の数人で寮近くを走り、個人練習を重ねた。池田陵真主将(3年)は「全く顔を合わせない人もいた。昨年より練習が遅れ、選抜に向けもっとやれるのにという思いもあった」。全体練習が再開できたのは開幕約1カ月前の2月14日。「できることをみんなでやろうと取り組んできた。一冬越え、粘り強さを見せたい」と、23日に智弁学園(奈良)と戦う。

 2年連続30回目の出場の県岐阜商は、新型コロナに翻弄(ほんろう)された1年だった。

 昨春は選抜出場を決めながら大会は中止になった。部活も3月中旬から3カ月間休止に。7月には教員や生徒らにクラスター(感染者集団)が発生した。部員の感染はなかったが、夏の県独自大会の出場を辞退。チームは自宅待機や練習の短縮を何度も強いられた。

 部員と鍛治舎(かじしゃ)巧監督はLINE(ライン)で連絡を取り合った。部員は毎日、自主練習のメニューや食事内容、体温などの健康状態まで報告。監督は指示や激励を送り、部員間ではトレーニング方法を共有した。

 だが、「第3波」がまたチームを襲う。1月、首都圏や関西に加え岐阜県にも緊急事態宣言が出た。公立校では週末の部活動が中止に。部員は集まれなかったが、自然にLINEのやりとりが復活した。鍛治舎監督は「指示しなくても全選手から状況報告が届いた。コロナの厳しい状況下で自立心が育まれた」と話す。

 高木翔斗(しょうと)主将(3年)は「『コロナだから』は言い訳にならない。昨春悔しい思いをした先輩の思いを背負い、まずは目の前の試合に勝利したい」と言う。23日に市和歌山戦に臨む。

 聖カタリナ(愛媛)や北海(北海道)などでも校内で感染者が確認され、個人練習が続けられた。(浅沼愛、板倉吉延)