ジャズ大賞の鹿児島・テディ金城さん「音楽で心豊かに」

小瀬康太郎
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 鹿児島を拠点に全国で活動するジャズピアニスト兼作曲家のテディ金城さんがこのほど、日本ジャズ音楽協会(東京都)の「ジャズ大賞」を受賞した。全国各地の自然をテーマに多くの曲を作り、2度の脳出血を経験しながらも「音楽を通じて世の中を平和にしたい」という一心で活動を続ける。

 「ほら、和風な雰囲気でしょう」。鹿児島市にある自身の音楽事務所。ピアノで軽やかに自作曲の「霧島」を弾いた。神秘的な旋律。テディさんが何度も登ったという霧島連山の荘厳な風景が目に浮かぶ。

 2019年11月、この曲を含む10年ぶりの新作「南風から東風・北風へ」をリリース。自然を題材にした4部作の完結編で、自作曲を中心にスタジオ録音した8曲を収録した。参加したのは、トランペットの類家心平、テナーサックスとフルートのアンディ・ウルフ(カナダ)、ベースの水橋孝、ドラムスのジーン・ジャクソン(米国)の4人。

 沖永良部島、喜界島屋久島桜島、出水のツル、広島の尾道や熊本の球磨川……。鹿児島の離島を中心に、これまで約30の自然を題材にした曲を書き、その美しさや大切さを音に託してきた。

 沖縄県出身。アマチュア音楽家の両親のもと、自然の中で育ち、釣りは今でも好きだという。60年代から全国で演奏活動を始め、70年代には母の故郷の鹿児島に拠点を移した。89年から一流ミュージシャンらと年2回の全国ツアーに出るようになり、鹿児島の離島でもコンサートを重ねた。

 初めて曲の題材にした島は諏訪之瀬島十島村)。91年の九州ツアーで訪れた際、約50人の島民らの前で演奏を披露し、「島の曲を作る」と約束した。島の情景や島民とのふれあいから着想、「諏訪之瀬の夜」を書き上げ、93年に島を再訪して披露した。

 ジャズ界を盛り上げファン層を広げたことが評価され、昨年10月に「ジャズ大賞」を受けた。2017年度に新設された賞で、これまでピアノの上原ひろみさんやトランペットの外山喜雄さんらが受賞している。長年活動をともにした水橋孝さんやベースの稲葉国光さんも同時受賞。「光栄なことだ」と喜んでいる。

 最新作の録音を終えた2カ月後の19年7月、2回目の脳出血で緊急入院した。医者からは「寝たきりでもおかしくない」と言われたが、「限られた音楽人生を全うしよう」と、同11月にはツアーで九州や関東を回った。昨年は、新型コロナウイルスの影響で自身のコンサートは一度も開けなかった。「厳しい1年だった」と振り返る。

 ジャズへの情熱は衰えていない。音楽事務所の設立50周年となる23年には、「日本」をテーマにした新作を制作する予定だ。長崎や広島、沖縄を題材にした新曲で世界に平和を訴えたいという。「コロナ下の今こそ音楽で人の心を豊かにしたい。私は文化の力を信じている」と話した。(小瀬康太郎)