魚の生息地を 矢田川に官民学連携「バーブ工」 名古屋

高原敦
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 名古屋市などを流れる矢田川にすむ生物を増やそうと愛知県は3月上旬、水の流れや流速に変化を与えて生息地をつくる「バーブ工(こう)」を設置した。県と大学、市民団体が科学的な見地から話し合って導入した。魚やカニなどの「憩いの場」になる瀬や淵が生まれると期待されている。

 矢田川は1級河川で、名古屋市西区庄内川と合流する。県によると、昭和50年代ごろから水害対策や河川敷の公園利用のためにコンクリート護岸が施され、直線的な部分が多く生物が少ない。

 そこで環境団体「矢田・庄内川をきれいにする会」(名古屋市守山区、会員約130人)が県に働きかけ、昨年10月、同会と県、岐阜大の研究者の三者で検討会「矢田川バーブ工プロジェクト」が発足。河川の生物多様性に効果があるとされるバーブ工の設置に向け、構造の検討や現地調査を進めてきた。

 県河川課によると、「バーブ(barb)」とは「釣り針のかえし」などの意味を持つ英単語。バーブ工は河岸から上流側に向けて突き出して設けられる水制工で、北米などで採り入れられているという。

 設置されたのは同市守山区藪田町で、長さ約10メートル、幅約1・8メートル、総重量約7トン。クレーンを使い、樹脂ネットに割栗石を詰めた「蛇籠(じゃかご)」約20個を並べ、くいとロープで固定した。事業費は約340万円。

 バーブ工によって、川水の流れや流速が変わる。川岸付近に土砂がたまって寄り州を作って水草が繁茂したり、先端部分の川底が掘れて瀬や淵を形成したりする効果があるという。こういった作用で、オイカワやドジョウ、アユやモクズガニといった生物が増えることが期待されている。

 県の担当者は「モニタリングで効果を見ながら、バーブ工の数を増やすことも考えたい」と話している。

 同会の本守真人さん(76)は「設置後に降った小さな雨でもすでに砂がたまっており、思っていたより効果が出ている。今後、数を増やしていくことで魚などにとって素晴らしい生息環境になると期待している」と話している。(高原敦)