トルコ、クルド系野党に圧力強まる 欧米は強権化懸念

イスタンブール=高野裕介
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 強権化が指摘されるトルコのエルドアン政権のもとで、少数民族クルド系政党への圧力が強まっている。最高検憲法裁判所に対し、同党の解党を要求。米国などが懸念を示したことにトルコ側は反発し、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国の間で新たな火種となりつつある。

 トルコの最高検は17日、国会(600議席)で3番目に多い55議席を有する野党「人民民主主義党」(HDP)が、分離独立を目指す非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)と行動を共にしていると指摘。「国家の統一を破壊することを目的にPKKの支部として活動している」として、憲法裁にHDPの解党を申し立てた。

 これに対し、HDPは「国策」との見方を示して批判。「民主主義と法への重大な打撃だ」と反発した。HDPをめぐっては、17日に同党所属の国会議員の一人が「テロリストのプロパガンダを広めた」として議員資格を剝奪(はくだつ)されたばかり。地元メディアによると、19日には警察が最大都市イスタンブールの地区幹部や関係者ら約20人の党員を拘束したという。

 同党への圧力は近年強まっており、元共同党首がテロ組織とのつながりをめぐる罪に問われて勾留中で、地方の市長らも解任されている。一方、HDPはPKKとのつながりを否定しているが、両者の関係を指摘する声は絶えない。エルドアン政権と連携する民族主義者行動党(MHP)はHDPの解党を声高に訴えてきた。

 人権重視をうたう米バイデン政権は、国務省が17日、「(解党は)有権者の意思を不当に覆し、民主主義を阻害する」との声明を発表した。欧州からも懸念が表明されたが、トルコ外務省は18日、名指しは避けつつ、「無節操に行動し、我々の内政に干渉するものに対し、トルコの独立した司法による法手続きを尊重するように求める」と主張した。

 米国とトルコはNATOの同盟国だが、トルコがロシアからS400地対空ミサイルシステムを購入したことなどをめぐって微妙な関係にある。トランプ前政権に比べてバイデン大統領はエルドアン大統領に厳しい姿勢で知られ、バイデン氏の就任から約2カ月が経っても、両大統領の公式な会談は実現していない。

 トルコでは、クルド人が約2割を占めるとされる。PKKは1984年から武装闘争を続け、トルコや米国、EUがテロ組織に指定。政府は、PKKによる攻撃で、これまでに4万人以上が犠牲になったとしている。トルコ軍は現在も、同国南東部やイラク北部で空爆などを含めたPKK掃討作戦を続けている。(イスタンブール=高野裕介)