高安、勇気もらった照ノ富士に勝利で「恩返し」単独首位

[PR]

(21日、大相撲春場所8日目)

 高安にとっては、刺激をもらってきた相手との大一番だった。

 同じ大関経験者で、ともにここまで1敗を守ってきた照ノ富士と顔を合わせた。

 高安は今場所も含めて3場所連続で小結の地位を守っているが、昨年、初場所で大関から転落した後は、けがに悩まされ、番付を落とした。7月場所は前頭13枚目。その場所で2年半ぶりに幕内に戻り、幕尻優勝を果たしたのが、照ノ富士だ。

 高安は2歳年下の元大関の躍進に「感化された」と言った。「僕なんかより、とてもつらい時期を経験している。優勝は、とても励みになる」。両ひざのけがで序二段まで落ち、再び番付を駆け上がった照ノ富士の快進撃は、勇気をくれた。そして、こう続けた。「次は自分が」

 そんな相手と中日で迎えた直接対決は、優勝レースを占う一戦。熱くなってもおかしくない取組で、高安は冷静そのものだった。

 立ち合いでぶつかった直後、照ノ富士の左腕に手をあてがい、得意の上手を封じた。そのまま右を深く差す。

 「あとはじっくり相撲を取ることができた」

 途中、両差しに。照ノ富士は外四つからでも力でねじ伏せることができるが、慌てない。相手の左腰にしっかり体を当てて、力を入れさせなかった。

 「相手十分の形にさせないことだけ考えた」と、下手投げを打ちながら揺さぶった。主導権を譲らず、最後は寄り切った。

 今場所で2桁以上勝てば大関復帰の可能性が高い照ノ富士は、悔しげに首をひねって花道を引き揚げた。

 これで単独首位に立った高安は、「達成感があるし、明日につながる。また、いい刺激になりました」と振り返った。

 まだ見ぬ賜杯(しはい)に向けて、弾みになる白星。充実感とともに、後半戦に向かう。