鎮魂永遠に 岐阜・土岐の陶芸家・伊藤さんが福島で個展

阿部英明
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 岐阜県土岐市在住の陶芸家伊藤慶二さん(85)が、東日本大震災で亡くなった方々を弔う「3・11鎮魂展」を9年ぶりに福島県会津若松市で開いている。「震災発生から10年間の時間、時空をどう表現するか」と考え、サブタイトルは「魂の宿る場」にした。

 伊藤さんは1970年代から、反戦、反核の思いを込めた「HIROSHIMA」シリーズを発表して国内外の注目を集めるなど、精力的な制作活動を続けている。

 震災発生から1年後の2012年3月、会津若松市の仏壇、仏具メーカーが運営するギャラリー「スペース・アルテマイスター」で鎮魂展を開催。昨年3月ごろ、再び開催依頼を受け「やっておかなければいけない」と引き受けた。

 かつて訪れた、長野県下諏訪町の「万治の石仏」や、奈良県斑鳩町法隆寺五重塔にある釈迦入滅の場面を表した彫刻群などを記した本を読み返し、合掌する人や木簡に仏をあしらった作品などを制作。長年表現してきた「面(つら)」は、これまでの作品群と印象は異なり、より具体的な形で見る人に迫ってくるものになった。会場には27点を展示した。

 伊藤さんは「原爆と同じで、一瞬で多くの命が失われた。亡くなった方、残された方、より具体的な人と人とのつながりを意識して作った」と話す。

 鎮魂展開催初日の今月11日には会場に足を運び、鎮魂式に臨んだ。「鎮魂は風化されるものではなく、永遠に続くもの。個々がしっかり思いを持つことが、生きている証にもなる」と話した。

 同展は28日まで(23日は休館)。問い合わせは同ギャラリー(0242・26・4621)へ。(阿部英明)