「会えないかも」と思ってた 防護服で1年ぶりの面会

金居達朗
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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、緊急以外の面会が制限されている高齢者施設。大阪府池田市特別養護老人ホーム「オレンジ池田」では、宇宙服のような防護服「メディコン」を着用することで、家族の面会が約1年ぶりに再開された。

 東京ドームの屋根などのテント構造物を手掛ける太陽工業大阪市淀川区)が開発。テントにも用いられる素材で、密閉性や耐久性に優れ、背面にあるフィルター付きのファンから新鮮な空気を送り込むことで快適に着られる。頭部の排気口にもフィルターが付いていて、陽性者が着用しても飛沫(ひまつ)が施設内に漏れることがないという。現在、全国各地の医療機関や高齢者施設計15カ所で導入されているという。

 北本正子さん(93)は、脳梗塞(こうそく)のために、2019年10月に入居した。長女の多田貴子さん(71)と孫の亜樹さん(36)は毎日面会に訪れていたが、数カ月後、厚生労働省からの通達で面会ができなくなった。テレビ電話や、医療機関受診のための外出以外では会話や接触ができず、直接ふれ合うのは約1年ぶりだった。北本さんは後遺症でほとんど言葉を発することができないが、貴子さんと亜樹さんとおよそ15分間手を取り合った。貴子さんは、「もう会えないかもしれないと思っていたが、防護服越しでもふれ合うことができて本当にうれしい」。「また来るね」と手を振って、施設を後にした。

 オレンジ池田では、2着のメディコンを導入。使用後はオゾン発生器で除菌することで、繰り返し使用できる。70人の入居者の家族1組ずつ公平に対応するために、しばらくは1家族あたり1カ月に1度の面会を行っていくという。

 施設長の平野泰典さん(38)は、「全国の施設でクラスターが相次ぐ中、画期的な技術。コロナ時代の介護施設では、一筋の光明になりそうだ」と話していた。(金居達朗)