日韓関係、改善できないのはなぜ? 韓国側の事情とは

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ソウル=鈴木拓也
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 元徴用工や元慰安婦の問題に解決が見いだせず、悪化の一途をたどる日韓関係。両政府が歩み寄れず、関係改善の見通しが立たないのはなぜなのか。Q&Aでまとめた。

ポッドキャストではソウル特派員の鈴木拓也記者が、背景を2回に分けて深掘りします。

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 ――韓国であった慰安婦問題をめぐる訴訟の判決をきっかけに、日韓関係はさらに冷え込んだようだ。

 元慰安婦や遺族ら12人(故人を含む)が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は1月8日、原告の訴えを全面的に認め、日本政府に1人当たり1億ウォン(約950万円)の慰謝料を支払うよう命じた。日本政府は「断じて受け入れることはできない」との立場で、韓国政府側に「極めて遺憾だ」と抗議した。日韓関係は元徴用工問題をめぐって、2018年秋に韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じたことをきっかけに悪化した。今回は被告が日本政府ということもあり、日韓の不正常な関係が深まったといえる。

 ――日本政府はなぜ控訴しなかったのか。

 日本政府はこれまでも、この裁判自体を認めず、参加しない姿勢を取ってきた。判決も無視する姿勢を貫き、控訴の手続きを取らなかったため、一審で確定した。

――どうして日本政府は裁判自体を認めないのか。

 まず前提として、日本政府は韓国との間で、第2次大戦中に朝鮮半島で行った強制動員への補償など、植民地統治時代に生じた被害補償の問題はすべて決着済みという立場だ。

 戦後、日本政府は韓国と国交を正常化させるため、1965年に日韓基本条約と日韓請求権協定を結んだ。協定では日本が無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力資金を払い、韓国が日本に対する一切の請求権を放棄すると定めているからだ。そのうえで2015年12月に韓国側と、いわゆる慰安婦合意もしている。

 合意では、日本側が慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から日本政府は責任を痛感している」と言及。安倍晋三首相の名前で、おわびと反省の気持ちを表明し、元慰安婦を支援するために10億円を拠出した。これにより「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」とした。

 さらに、日本政府は今回の裁判で「主権免除」を主張し、裁判自体に応じてこなかった。

 ――主権免除とは。

 国家には他国の裁判権が及ば…

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