シン・エヴァの「聖地巡礼」 庵野さん地元にファン殺到

山崎毅朗
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 アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の大ヒットで、山口県宇部市が注目されている。総監督・庵野秀明さんの出身地で、映画でも風景が数多く登場する。「聖地巡礼」するファンが市内を訪れている。

 県南西部に位置する宇部市下関市山口市に次ぐ県内第3の都市。瀬戸内海に面し臨海工業地帯を形成している。市内を走るJR宇部線の宇部新川駅は映画の中で同じ駅名で描かれ、宇部線の歴代車両とともに重要な場面で登場する。

 映画が公開されると、宇部新川駅のホームや車両を撮影するファンが現れた。熊本市の会社員山川拓真さん(27)と愛麗(あいりん)さん(38)夫婦も今月20日、初めて宇部市を訪れた。「駅の構内は映画そのまま。アニメの世界をリアルに体験できた。エヴァをきっかけに、宇部のことを身近に感じるようになった」。愛麗さんは興奮気味に話した。

 ホームの端でカメラを構え、南東側にある「松浜踏切」や「小串(こぐし)通踏切」を撮影する人も。二つの踏切は映画のポスターのモチーフになったとされる。同じく映画に登場する市内の大手化学メーカー「宇部興産」の工場に足を伸ばすファンもいた。

 庵野さんは1995年放送のテレビ版から、監督としてエヴァ・シリーズを手掛けてきた。これまでも宇部市を中心に展開するラーメン店「中華そば 一久」のカップ麺のほか、山口県岩国市に酒蔵がある日本酒「獺祭(だっさい)」がエヴァに登場した。

 宇部線沿線では3月末まで、スマートフォンのアプリを使った県民限定のスタンプラリーを実施中で、「シン・エヴァ」に登場する車両の模型や、クリアファイルなどが抽選で当たる。

 近年は利用客の低迷が続き、一時は軌道を撤去し、バス高速輸送システム(BRT)の導入も検討された宇部線。利用促進協議会事務局を務める宇部市の担当者は「宇部線の盛り上がりにつながれば」と話した。

 地元の映画館でも「エヴァ人気」が広がっている。市内唯一の映画館「シネマ・スクエア7」では公開初日の8日、平日にもかかわらず1日9回の上映がほぼ満席。支配人の西本佳弘さん(47)によると、トランクケースを持って県外から来た人や上映後に立ち上がって拍手する人もいた。

 「(映画で)改めて庵野監督の地元愛を感じた」と話す西本さん。「劇場内の熱気がすごい。宇部市が注目されるきっかけになってうれしい」(山崎毅朗)