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非核化ウクライナ、幻の廃絶計画 極秘資料に米欧協力案

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キエフ=国末憲人
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 どうすれば核兵器をなくせるか。

 自ら核兵器を廃棄した国の経験は、多くの教訓を物語る。その成功例としてしばしば挙げられるのが、1991年独立のウクライナだ。ソ連から引き継いだ何千発もの核兵器をロシアに移送し、非核国となった。

 ただ、実はその過程で、ロシアとではなく米欧との協力で廃棄する計画もウクライナ政府が進めていたと、最近公表された新資料から明らかになった。米欧を巻き込んで国家の安全保障を確保してこそ安心できる、との考えからだ。最終的に実現しなかったその試みは、軍縮のあり方を問う事例として、専門家らの注目を集めている。

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 資料を公表したのは、米ロとの交渉に携わった当時の閣僚。その人物に、キエフで会った。(キエフ=国末憲人

 無数の文書が差し込まれたファイルを抱えて、ユーリ・コステンコ氏(70)は待ち合わせのカフェに現れた。「これは、全資料のごく一部なのだけど」。ウクライナ独立後、核問題を担当する環境保全相として、米ロとの交渉を担当。資料は、その際の記録だ。

 同氏が示した1枚の書類には「極秘」の印。核廃棄を巡る議論が白熱した93年、国会にあたる最高会議の国防委員会に訪米団が提出した報告書だという。

 ▼米国側はウクライナ政府と秘密裏に(核廃棄の)作業を進める意向を持っている。

 ▼米国は、クリミア半島をウクライナの領土だと認める用意がある。

 ▼廃棄のための基金設立を支援する。

 ▼米国はウクライナに非核化以上のことを望まず。

 当時、交渉がすでに具体的な内容に踏み込んでいたとうかがえる。

 コステンコ氏らが米国との連携を探った背景には、ロシア主導の核廃棄への懸念があった。ウクライナは独立後、米ロに次ぐ世界第3の核大国になった。チェルノブイリ原発事故を経験した同国では、世論も政界も、核廃棄を進める点では一致していた。

 意見が割れたのはその方法だ…

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