防護服で介助、まるで野戦病院 クラスターの高齢者施設

有料会員記事

山本恭介
[PR]

 新型コロナウイルスの第3波では、高齢者施設がクラスター(感染者集団)の最大の発生源になりました。政府は昨夏から施設での検査強化を自治体に呼びかけてきたにもかかわらず、なぜ発生を抑え込めなかったのでしょうか。

 「まるで野戦病院」。宮崎市の住宅型有料老人ホーム「はーとねっと弐番館」(利用者36人、職員32人)運営会社の岩切勝美社長は、職員と利用者計30人が次々と感染するクラスターとなった1月の日々をこう表現した。

写真・図版
クラスター発生時の施設内の様子=岩切勝美さん提供

 1月12日、深夜だった。「熱はないが味覚を感じない」。施設職員の1人から連絡があった。この職員は14日に陽性と判明したが、保健所からは「陽性になった職員はマスクをしていたため、濃厚接触者はいない」として、他の職員や利用者へのPCR検査はしないと連絡があった。

 施設では昨年から関係者以外の立ち入りや、職員の夜間会食を禁止するなどの対策をしてきた。それだけに、岩切さんは「感染が広がっているとは思わず、1人でおさまればという感覚だった」といい、保健所の説明を受け入れた。

 ところが、16日になって新たに別の職員1人が陽性だと分かった。保健所からは、すべての職員と利用者にPCR検査をすると連絡があった。3日後にPCR検査を実施した結果、利用者17人、職員4人が陽性と判明した。岩切さんは「頭が真っ白になった。最初の1人の時からクラスターを疑って全員検査をしてもらっていたら、感染拡大を抑えられたのでは」と悔やむ。

20日以上帰宅できず

 多くの利用者は無症状だったことから、基本は入院せずに施設内の個室での療養となった。DMAT(災害派遣医療チーム)も施設に入り、一日がかりで、感染拡大の防止に必要な感染者と非感染者の区域を分ける「ゾーニング」がされた。

 職員は防護服を着てオムツ交換などの介助をしたが、疲労度は大きかった。ゾーンごとの防護服の着脱、消毒、保健所への連絡など、座るひまもなく働いた。

 4人いた施設の看護師は3人…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。