高校でも一緒に「日本一」市和歌山・親友バッテリーの夢

滝沢貴大
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(23日、選抜高校野球 市和歌山1-0県岐阜商)

 第1試合に登場した市和歌山の最速152キロ右腕、小園(こぞの)健太投手(3年)と、捕手で主軸の松川虎生(こう)選手(3年)は、中学時代からバッテリーを組む親友だ。中学3年の時にはチームを日本一に導いた。同じ高校に進み、迎えた初の甲子園。目標は再びの頂点だ。

 三回表、1死二、三塁のピンチを迎えた。松川選手は小園投手にサインを出すと両手を広げ、うなずく。県岐阜商の打者を三振に仕留めると、マウンドに駆け寄って肩に手をかけ、声をかけた。続く打者も見逃し三振で切り抜けた。

 試合中、小園投手が松川選手のリードに首を横に振ることはほとんどない。「投げたい球と要求される球がほとんど一緒」だからだ。

 2人が出会ったのは中1のとき。中学生の硬式野球クラブ「貝塚ヤング」(大阪府貝塚市)でチームメートになった。お互いの第一印象は、小園投手は「体がでかいな」、松川選手は「目つきがいかついな」。

 中3になると、それぞれエース、4番で主将とチームの中心選手に成長した。夏の全国大会「ヤングリーグ選手権大会」で、チームを優勝に導いた。

 高校進学にあたり、2人のもとには私立の強豪など全国の高校から声がかかったが、共に公立の市和歌山を選んだ。見学に行った松川選手が、「選手同士で話し合う、考える野球ができる」と感じ、小園投手を「一緒に甲子園に行こう」と誘った。2人は大阪の自宅から電車で通う。

 昨夏の和歌山県の独自大会では、3回戦で智弁和歌山に敗れた。2人にとって高校最後の1年を迎えた。市和歌山でもエース、主軸で主将と、中学時代と同じようにチームを引っ張る存在になっていた。

 「けんた」「こう」と呼び合う。けんかはしたことがない。新チームが始まる時、「最高のバッテリー 勝利」と、お互いの帽子のつばの裏に書きあった。「2人が軸になり、高校でも日本一を達成しよう」と気合を入れた。

 新人戦、秋の県大会、近畿大会と、先輩が夏に勝てなかった智弁和歌山を3度破り、頂点を目指す選抜への切符をつかんだ。

 「甲子園への緊張はあるが、2人でいつも通りの投球をしたい」と言っていた小園投手は、9回を1人で投げ抜いた。「初回から攻めていく」と話していた松川選手は、大きな身ぶりで小園投手をもり立てた。投手戦の末、チームは劇的なサヨナラ勝ちを収めた。(滝沢貴大)