大阪桐蔭らしからぬ淡泊さ、初戦は難しい 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
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(23日、選抜高校野球 智弁学園8-6大阪桐蔭)

 八回表、大阪桐蔭が2点差に追い上げ、なお1死一、三塁。ここで1番野間翔一郎君の打球が一塁手の正面をついて、スタートを切っていた一塁走者もアウトでダブルプレーになりました。

 あれが抜けていたら、勝負はどうなっていたか分かりません。大阪桐蔭は九回も無死一塁から、3番宮下隼輔君のライナーが一塁手に捕られてダブルプレーになる不運がありました。勝敗に運不運はつきものですが、一回から相手に渡してしまった主導権を、最後まで取り戻せなかったという印象です。

 先発の松浦慶斗君が立ち上がりに4失点。打線は智弁学園の西村王雅君を打ちあぐねました。大阪桐蔭らしい力強さが感じられず、どこか攻守とも淡泊な印象を受けました。

 智弁学園バッテリーの配球が外角中心と分かっているのに、各打者が引っ張りにいってしまう。いつでも本塁打を打てる強打者たちが、決して大振りせず、コースに逆らわない打撃もするのが大阪桐蔭打線のすごみです。八回の集中打は見事だっただけに、反撃が遅かったのが残念です。

 それにしても、大阪桐蔭でもこんな試合になってしまう。初戦の怖さです。春の甲子園はとくにそう。久しぶりの公式戦の初戦ですからね。調整の難しさを改めて感じました。

 反対に智弁学園は、一回の4点で流れをつかみました。4番山下陽輔君の右犠飛も、6番植垣洸君の3点左翼線二塁打も、松浦君の球威に力負けせず、逆方向に強く打ち返しました。この先制攻撃で、先発の西村君も楽になりました。

 その西村君も投球数が130球にさしかかった八回は、球の切れがなくなっていました。智弁学園としては、もう少し早く継投してもよかったように思います。八回の攻撃で、無死二塁から走者を進められなかったのも反省点です。三塁に進めていたら、前川右京君の右飛が犠牲フライになり、1点追加できたでしょう。

 そうすれば、九回からマウンドに立つ小畠一心君が、もっと余裕をもって投球できたでしょう。結果的には2点差で逃げ切れましたが、運を引き寄せるために、やるべきことを怠らない姿勢は大切です。(前・智弁和歌山監督)