膠着2分、我慢比べに勝った高安 幕内Vへ価値ある1勝

松本龍三郎
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(23日、大相撲春場所10日目)

 大相撲春場所は23日、東京・国技館で10日目があり、1敗で単独首位を走る小結高安が大関貴景勝を破った。

 荒々しい張り手の応酬で始まった一番は、開始20秒で両者が頭と頭を付け合う膠着(こうちゃく)状態になった。同じ体勢のまま、そこから2分以上。「自信をもって、相手が動くのを待っていた」。我慢比べに勝ったのは、直近の対戦で4連敗している高安の方だった。

 先に蹴返しで仕掛けた貴景勝の脇に左を差し込み、十分の左四つ。最後は上手投げで、簡単に大関を転がした。

 「落ち着いてさばけた」と勝負どころの動きを自賛した高安。土俵下で見届けた藤島審判長(元大関武双山)も、元大関の冷静な取り口を評価した。「顔を張られても熱くならず我慢した。体が起きないようにして(相手が)仕掛けるのを待っていた。大関相手にああいう相撲。自信になる」

 この日、関脇照ノ富士と平幕千代の国の2敗勢がそろって敗れ、後続に2差がつく展開。「いやが応でも優勝争いを意識するでしょう」と藤島審判長はみる。賜杯(しはい)へ近づいたかと問われた高安本人は「とりあえずまた明日、2桁(勝利を)めざして気持ちをもっていきたい」と言った。

 平成以降、10日目終了時点で後続に2差をつけた25例のうち、最後に賜杯を抱けたのは24例。逃したのは、2019年初場所で14日目から休場した横綱白鵬のみだ。大関経験者でありながら、高安がいまだ達成していない幕内優勝。その可能性を高める、価値ある1勝だった。(松本龍三郎)