最大6万8千人が避難対象 鶴見、伽藍岳噴火の想定で

中島健

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 大分県は、別府市の鶴見岳(1375メートル)と、由布市別府市の境にある伽藍(がらん)岳(1045メートル)が噴火した場合の避難計画を年内に改定する方針を発表した。2015年の改正活火山法で策定が義務づけられ、地元市町などとの火山防災協議会で19年につくったが、対象は火口周辺だけだった。改定する計画では、火砕流が発生するような最悪の場合を想定し、最大6万8千人の避難を盛り込む。

 計画では、高熱の爆風「火砕サージ」が流れると想定される地域と周辺を最も広い避難対象地域とし、気象庁噴火警戒レベル5を出し、火口から3キロを超えて重大な被害が起きる恐れがあると判断された場合に最大の避難を求める見通しだ。鶴見岳では火口から約6キロ、伽藍岳で約5キロの地域まで範囲は及び、別府、由布、宇佐各市が対象に入る。

 鶴見岳の噴火の場合は、別府市では観海寺温泉やビーコンプラザも避難が必要になり、市の人口の約6割にあたる最大約6万8千人が避難対象になる。伽藍岳の噴火の場合は最大で、別府市で約4万3200人、由布市で約300人、宇佐市で約250人が避難対象になる。この規模で受け入れできる施設は周辺になく、大分市などと協議し、ようやく見通しがついたという。

 鶴見岳と伽藍岳は、気象庁が常時監視する50の火山の一つ。鶴見岳では1万500年前~7300年前に溶岩流が発生したとされる。伽藍岳の867年の水蒸気噴火以降は噴火の記録がない。2016年に作成した防災マップや噴火警戒レベルは、過去の噴火や由布岳で2200年前に起きたとされる火砕流と同規模を想定している。

 噴火警戒レベル3までに対応した現在の避難計画では、レベル2で、鶴見岳ではロープウェーが停止し、火口から約1キロの範囲が立ち入り禁止になる。伽藍岳は山腹にある塚原温泉で避難が必要になる。レベル3では火口から約1・5キロが立ち入り禁止に。伽藍岳の噴火では、大分道湯布院IC―別府ICは通行止めになる。

 レベル4の噴火では、大きな噴石が火口から約4キロ飛ぶと想定。ただ、気象庁がレベル5を発令する基準は、噴火が発生し、火砕流や溶岩流などが居住地域に切迫しているか、到達した場合と考えられている。発令を待っての大規模避難は難しいとみられ、福岡管区気象台の担当者は「火山活動を丁寧に監視しながら、被害が大きくなる噴火の兆候をとらえて避難してもらうことになるのでは」と話す。

 県防災対策企画課の首藤圭課長は「差し迫った危険性は低く、前兆から大規模な噴火までは時間がかかると考えられるので、計画があれば混乱することはない。不安がることなく、活火山だと認識し、万が一の計画を理解してもらっておくことが大事だ」と話している。(中島健)