所沢の中学で自殺・刺殺…第三者委「3年連続、異常」

日高敏景
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 2018年に埼玉県所沢市の市立中学1年(当時)の男子生徒が自殺した問題で、市教育委員会は23日、第三者委員会がまとめた調査報告書を公表した。報告書は、担任教師の指導や学校の問題点などを指摘したうえで、自殺の原因を特定するのは「極めて困難」と結論づけた。同校では前年の17年にも別の生徒が自殺し、19年には生徒同士の刺殺事件が起きている。

 男子生徒は18年7月17日午前8時すぎ、学区内の高層住宅から飛び降りて死亡。市教委が翌月に設置した第三者委が教師や同学年の生徒、遺族らから聞き取り調査をしてきた。

 報告書は、男子生徒が担任から課題や提出物の扱い、普段の振る舞いなどでたびたび指導を受け、「学校は理由を説明しない」「高校進学を盾にした強制的な指導」などと感じていたと指摘。担任や学校の対応が自尊心を低下させ、将来への希望を失わせた可能性があるとした。

 担任については「ヒステリックに怒る」「子どもっぽい」「二面性がある」といったマイナス評価の証言もあり「看過できない」とした。

 そのうえで、自殺に至った経緯を「中学校生活の閉塞(へいそく)感や大人社会への批判、担任の指導の多くを『感情的』『理不尽』と感じていたこと、同じ中学校で前年にも生徒の命が関わる事案があったという特異な環境、そうしたものが複合しながら徐々に問題が進行していった」とした。いじめの有無も「明確な結論には至らなかった」とした。

 一方、同校で3年連続で起きた一連の出来事を「異常な事態」と指摘。「学校は何を内省し、何が改善されたのか、厳しく問われなければならない」と、学校の教育体制や市教委の対応を強く批判した。

 23日に記者会見した第三者委の委員長を務めた菅野純・早稲田大名誉教授は「学校教育がなぜこうした子どもたちを救えなかったのか、という視点で調査してきた」と話し、大岩幹夫教育長は「今回の指摘を真摯(しんし)に受け止め、具体的で実効性のある取り組みを検討していく」と述べた。

 調査報告書(公表版)とそれに対する遺族の「所見」は1年間、市ホームページに掲載される。(日高敏景)