報ステCM取り下げ ジェンダー平等「揶揄」批判相次ぐ

守真弓、宮田裕介
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 テレビ朝日がユーチューブなどで公開した報道番組「報道ステーション」のウェブCMが、「ジェンダー平等に取り組む人を揶揄(やゆ)している」などとして、SNS上などで批判が相次いでいる。同局は24日、「不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、お詫(わ)びする」と謝罪し、CMを取り下げた。

 CMは22日、テレ朝のユーチューブで30秒版が、ツイッターで15秒版が公開された。30秒版のCMでは、若い女性が「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかって今、スローガン的にかかげている時点で、何それ、時代遅れって感じ」などと話した後、「(報ステの開始時間の)9時54分!ちょっとニュース見ていい?」と発言。その直後に、「こいつ報ステみてるな」という字幕が表示されて終わる。

 こうした内容に対してSNS上などでは、「なんで『ジェンダー平等を掲げる政治』が時代遅れなのか意味がわからない」「ジェンダーギャップ(指数)121位(の国)でこの内容だと単にグロテスク」などといった批判が巻き起こった。若い女性が報道番組を見ていることを特別視していると見えることが、「若い女性は無知という偏見を下敷きにしている」といった指摘もあった。

 社民党福島瑞穂参院議員は公式ツイッターに「女性の低賃金や子供を育てながら仕事を続けることの困難さ、子供や女性に対する暴力、様々な生きづらさがある。それを変えようとしているときに、ジェンダー平等は時代遅れというCMを作る感覚が理解できない」と書き込んだ。

 同局は24日、同番組のツイッターで、「幅広い世代の皆様に番組を身近に感じていただきたいという意図」だったと釈明。「ジェンダーの問題については、世界的に見ても立ち遅れが指摘される中、議論を超えて実践していく時代にあるという考えを伝えようとしていたものでした」と説明した。

 テレ朝の中堅社員によると、CMの配信後は報道ステーションの現場からも懸念の声が上がったという。社員は、「ジェンダー平等の必要自体は所与のもので世界はもっと進んでいると言いたかったのかもしれないが、問題意識もなく、安易に軽く作って若い人を取り込もうという意図が見え見えで論理が破綻(はたん)していた」。

 直近の世界経済フォーラムの男女格差(ジェンダーギャップ)ランキングで日本は153カ国中121位。労働経済学などが専門の山口慎太郎・東京大学教授は、政治や経済の分野で特に遅れていると指摘し、「日本は法律や制度が整っていない状況で、政治が頑張らないといけない状態。事実に反している」。CMがつくられた背景の一つには、報道機関の意思決定層に女性の登用が進んでいないことがあるとみており、「報道機関自らが男女格差の実態を調査し、対策をとることが必要だ」と述べた。(守真弓、宮田裕介