秋田で活躍できるか 協力隊の定着率最下位、厳しい現実

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野城千穂
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 静岡県出身の大橋修吾さん(26)は、秋田県男鹿市の地域おこし協力隊の任期を今月いっぱいで終える。国際教養大秋田市)を卒業した後に協力隊に入り、市内のレンタサイクル事業や観光情報の翻訳を担ってきた。

 地域おこし協力隊は、過疎地域の活性化や人材確保を目的に総務省が2009年度に始めた制度。協力隊員は都市部から地方に移住し、任期3年を上限として地域活動に携わりながら、将来的な定住をめざす。

 大橋さんは、4月以降も男鹿に残る。個人事業として翻訳の仕事をし、さらに、協力隊活動の傍らで始めたハンバーガー屋の本格開業をめざす。

 「秋田のために」。そんな思いからではない。

 確かに大学から過ごしてきた秋田に感謝の気持ちは強い。国際教養大に在学中、米国に留学した。その費用は、私立大から留学した友人の学生とは比較にならないほど安かった。教養大の運営費は、県からの交付金でまかなわれている。「秋田県民が投資してくれたおかげだ。還元しなければ」と思った。だが、男鹿に残ることを決めた今、「秋田のために残ってくれてありがとう」と言われるのは違和感がある。

 県内に残ると決めたのは、自分がめざすキャリアのモデルになるような魅力的な人たちとの出会いが、男鹿にあったからだった。それぞれ肉屋、アパレル店、カフェを市内で営みながら男鹿の活気づくりにも取り組む30~40代の3人だ。「その人たちの事業の後に続くようなことがしたいと思ったんです」

 県内では今年1月現在で69人の協力隊員が活動中だが、大橋さんのようなケースは必ずしも多くはない。総務省の調査では退任後の県内定住率は5割を切り、全国で最下位。背景には、厳しい雇用環境がある。

 協力隊のOB・OGネットワーク代表の伊藤晴樹さん(29)=旧二ツ井町出身=は昨年9月以降、12人の協力隊員の相談を受けたが、ほとんどが進路の悩みだった。協力隊員の多くは退任後に秋田に残る場合、公務員になるか、低賃金を覚悟のうえ企業に就職するか、リスクを負って自ら起業するかといった選択肢を考える。「若者は自分が活躍する場を探している」。伊藤さんはそう訴える。任期中に培った人脈を生かして定住するのが理想だが、任務に忙殺されて足がかりを得られず、希望通りにいかないことも多いという。

 雇用は一朝一夕では増えないが、大橋さんのように、目標にできる魅力的な人の存在が定着につながった事例はヒントになる。一人が活躍する姿が別の移住者を呼び、好循環に入る可能性も示してくれる。

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