ホームレス襲撃「見下す気持ちあった」 元少年に判決へ

松山紫乃
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 岐阜市で昨年3月、路上生活をしていた渡辺哲哉さん(当時81)が襲われ死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた元少年2人(ともに20歳)の判決が25日、岐阜地裁で言い渡される。2人とも起訴内容は認めており、犯行時少年だった2人の量刑に注目が集まる。

 起訴状などによると、2人は別の元少年(20)=傷害致死の非行内容で少年院送致=と共謀し、昨年3月25日午前1時半ごろ、岐阜市の河渡橋で渡辺さんに投石を開始。石を投げながら約1キロ追いかけ、土の塊を投げつけると、顔面に命中。転倒した渡辺さんは脳挫傷などにより死亡したとされる。

 検察側は、当時会社員の元少年に懲役8年、無職の元少年に懲役6年を求刑。弁護側は、会社員の元少年には懲役4年6カ月が相当と主張し、無職の元少年については執行猶予付き判決を求めている。

 これまでの計5回の裁判員裁判の公判では、詳細な犯行状況や事件に至る経緯などが明らかになった。

 2人は高校卒業後、投石に加わった共通の友人(少年院送致となった元少年)を通じて知り合った。

 昨年3月上旬、野球を通じた仲間8人ほどで、愛知県内の心霊スポットを訪れた。帰り際、公園にいたホームレスに投石をしていると、渡辺さんらの存在を思い出した無職の元少年が「もっと面白いところを知っている」と言い出した。

 河渡橋へ行き、渡辺さんや友人女性(69)が生活していた橋の下に向け投石した。それ以降、多い時は10人ほどでメンバーを入れ替えながら、事件までの約3週間に計6回、投石を繰り返したという。

 事件当日の昨年3月25日未明、2人は他の元少年3人と計5人で河渡橋へ向かった。2人でスマホの通話アプリを使って、「3、2、1でいくで」などとタイミングを合わせたうえで、渡辺さんを挟撃。執拗(しつよう)に追いかけ回した末、土の塊を投げつけ渡辺さんは転倒。鼻から血を流していたが、救急車を呼ばず、現場からそのまま逃走した。

 翌26日夜には、2人は複数の仲間と集まり、「河渡橋で花火をしていたら、突然渡辺さんたちに襲われて正当防衛で反撃したら、倒れて死んでしまったことにしよう」などと口裏合わせをしようとしたという。

 法廷で、動機などを問われた当時会社員の元少年は「被害者を見下す気持ちがあり、仲間はずれにもなりたくなかった」。無職の元少年は「ずっと死にたいと思っていて、それ以外はどうでもよかった」と話した。

 元家裁判事で少年事件を数多く手がけてきた多田元弁護士=愛知県弁護士会=は、「少年事件では結論よりも審理の過程が大事だ」と指摘する。その上で、「判決では元少年たちの行為以上に、事件に至った経緯や背景がきちんと反映された判決になるのか注目したい」と話した。(松山紫乃)