第4回化学物質の調査、押しつけ合い 小泉環境相に直訴した

有料会員記事永遠の化学物質

諸永裕司
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 清らかな流れに指先を入れると、冬でもほのかに温かい。

 「地下水だから一年中、18度くらいなんだそうです」

 週に2、3度、自転車に乗って水をくみにくるという女性は言った。東京都国分寺市にある「お鷹(たか)の道・真姿(ますがた)の池湧水(ゆうすい)群」。かつて環境省の「名水百選」に選ばれた湧き水だ。

 1キロほどのところにある東恋ケ窪浄水所では2年前、地下水源からの取水を止めた。国内ですでに使用が禁止されていた有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が高い濃度で検出されたためだ。浄水所の地下水源とこの湧水群が同じ水脈とは限らず、水脈が違えば影響は異なる。だが、都は湧水について定期的な水質調査をしていないため、実態はわからない。

拡大する写真・図版永遠の化学物質④

 一方、飲用に使う井戸では2020年度、国が水質管理の目安と定める暫定目標値を5カ所(5市)で超えた。大学や事業所などにある大型井戸(専用水道)も含まれ、最高は目標値の約13倍だった。目標値は1リットルあたりPFOSPFOAの合計で50ナノグラム(ナノは10億分の1)で、このレベルの水を1日2リットル、70年飲み続けても健康に影響のない値とされる。

 飲用井戸では毎年、多摩地区の数カ所で高い値が確認されている。ただ、都は地下水を飲むかどうかの判断を所有者に委ねている。有機フッ素化合物は健康への影響について医学的な評価が定まっておらず、暫定目標値はあくまで目安で、順守を求められる基準でもないため指導できないという。同じ理由から、住民の健康調査はしていない。

 「有害な化学物質が自分の血の中にどれだけ含まれているかを知ることは、市民として当然の権利ではないでしょうか」

 環境問題に取り組む弁護士の中下裕子さん(67)は言う。代表をつとめるNPO「ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議」(東京都江東区)は昨夏、府中市と国分寺市の住民に呼びかけて、血液に含まれる有機フッ素化合物の濃度を独自に調べた。

 残留性のある化学物質による「体内汚染」。その知られざる実態を4回の連載でお伝えします。前回までは、有機フッ素化合物の地下水汚染が見つかった大阪府摂津市と東京・多摩地区で、住民たちの血液中からも有機フッ素化合物が検出された事例を紹介しました。最終回では、国の化学物質対策の空白をめぐる動きを紹介します。

 その結果、22人の参加者の…

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