監督が作った「地獄」の坂道 自ら走りに行く投手たち

福冨旅史
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(25日、選抜高校野球 中京大中京2-0専大松戸)

 第6日の25日、第1試合に登場した専大松戸(千葉)のグラウンドには、出場校中最高齢の持丸修一監督(72)が作った「坂道」がある。歴代の投手陣が走り込み、下半身を鍛えてきた。

 この日は強豪の中京大中京(愛知)戦。先発した深沢鳳介(おうすけ)投手(3年)はピンチを併殺で切り抜けると、ベンチの持丸監督の元へ笑顔で駆け寄った。その後も粘り強い投球を見せた。

 深沢投手らが練習で走る坂道は、同校グラウンドの外野後方にある。長さ約50メートル。舗装された道を、人の背丈3人分ほどの高さまで駆け上がる。「投手は下半身が命」と考える持丸監督が、2008年春の就任直後に整備した。ダッシュ10往復が投手陣の日課だ。

 選手たちは「地獄」と口をそろえる。20メートルまで傾斜は緩やかで、30メートルで急に脚が重くなり、40メートルで急な傾斜に。「腕振れ!」。仲間の声が飛ぶ。50メートルで頂上に登り切ると脚が震える。

 深沢投手は「下半身の粘りが出て、制球力が上がった」。岡本陸投手(3年)も「脚で踏ん張る力がつき、球速が伸びた」と話す。

 投手陣は、ノックの合間や全体練習の後、吸い寄せられるように坂道へと向かう。上沢直之(日本ハム)や高橋礼(ソフトバンク)ら、プロで活躍するOBもこの坂道を駆けた。「俺らもいつか先輩みたいに」。そう思えば自然と力が湧くという。

 「地獄」の坂道だが、投手たちは自ら走りに行く。投球に欠かせない下半身を強化するにはどうするか。監督生活45年でこれまで率いた4校全てを甲子園に導いた持丸監督は、選手たちに「考える力」を求めている。

 この日、深沢投手は投げ抜いたが、投手戦の末に惜敗した。「冬の走り込みの成果は見せられた。夏は勝てる投球をしたい」(福冨旅史)